1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤澤 肇 名古屋大学, 理学部, 教授 (60079689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 厚志 名古屋大学, 理学部, 助手 (00221896)
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Keywords | 神経細胞 / 細胞識別 / cDNAクローニング / 膜分子 / 細胞接着 / 神経束形成 / 嗅覚系 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
神経細胞間の特異的な結合は、神経細胞表面膜分子を媒介にした細胞認識がその基礎となって形成されると考えられる。前年度までの研究で、アフリカツメガエル神経系に発現する膜蛋白質プレキシン(plexin:従来名B2)が網膜細胞の突起間の相互作用に関与し網状層の形成に重要な役割を演じていることが明らかとされた。そこで、本年度は、プレキシンの機能をより一層明らかにするため、プレキシンをコードするcDNAのクローニング、プレキシンの細胞接着能の検討、既に同定されている膜蛋白質ニューロピリン(Neuropilin:従来名A5)との機能的な連関の解析を行った。 1、プレキシンcDNAのクローニング:cDNAクローニングの結果、プレキシンは膜貫通を一ケ所持ち、細胞外領域に肝細胞増殖因子(HGF)の受容体c-metと類似なシィステインに富んだドメインが3箇所あるユニークな膜分子であることが明らかとなった。 2、プレキシンcDNAを細胞接着能を持たないマウス株細胞(L細胞)に導入して強制発現させると、細胞接着能が生ずること、また、この細胞接着能は同種分子間の相互作用で起こり、Ca^<2+>依存性であることが明らかにされた。 3、アフリカツメガエルの嗅覚系は2つの膜分子プレキシンとニューロピリンの発現量が異なる嗅神経サブセットよりなり、これら嗅神経繊維のサブセットは膜分子の発現量に依存して選択的に神経束を形成し、嗅覚中枢である嗅球の異なった領域に投射することが明らかにされた。 以上の結果は、プレキシンが神経細胞の相互識別に関与し、神経回路形成に重要な役割を演じていることを示している。
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