1994 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経系にみられる分散制御システムの生理学的および工学的研究
Project/Area Number |
04454035
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
片山 芳文 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (20014144)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 智 久留米大学医学部, 講師 (40166103)
古川 哲史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (80251552)
辰巳 仁史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (20171720)
平井 恵二 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (70156628)
|
Keywords | 自律神経系 / 分散制御システム / 腸神経系 / ニューロン / シナプス伝達 / ニューラルネット / 細胞内情報伝達 / ポンプ機能 |
Research Abstract |
1.腸神経系を構成する筋層間神経叢と粘膜下神経叢の機能構築には極めて大きい差があるが、本研究で粘膜下神経叢の機能構築に部位差があることを明らかにした。モルモットの盲腸や近位結腸の粘膜下神経叢で良く発達している抑制性のシナプス伝達機構は遠位結腸では殆ど見られない。このような機能構築の部位差が腸管各部位の機能発現の機構に反映されていると考えられる。ビオチン関連物質を封入した細胞内微小電極を用いて、腸管各部位の腸ニューロンの電気生理学的特性と細胞体の形状と神経突起の広がりなど形態学的特性の比較検討を行った。 2.カルシウムイオンが細胞内情報伝達に極めて重要な役割を果たす。個々のニューロンにおけるカルシウムイオン濃度の恒常性が維持される際に細胞内のカルシウム結合蛋白とカルシウム貯蔵器官、カルシウムポンプなど複数の緩衝装置が作動するモデルを構成しその動態をシミュレートした。 3.ラット前脳部ブローカの対角帯核(DBB)のニューロンを分離・培養すると、その神経突起先端部の成長円錐にアセチルコリンが存在することが昨年度確認された。そこで、別途、培養した上頚神経節(SCG)ニューロンの細胞体からホールセル-パッチクランプ記録を行いながらDBBニューロンの成長円錐に接してSCGニューロンの細胞体を置いてDBBニューロンの細胞体を電気刺激すると、SCGニューロンから内向き電流を記録できた。内向き電流の電気生理学的および薬理学的解析からDBBニューロンの成長円錐からアセチルコリンが放出されたと結論された。 4.Na,Kポンプのα1アイソフォームは静止膜電位レベルで細胞内外のイオン勾配を保つ際に重要であり、α3アイソフォームの方は活動電位に伴って流入したNaを細胞外に汲み出すため必要と考えられる。Na,Kポンプのα1アイソフォームは全組織に存在するのに対して、α3アイソフォームの方は神経細胞や心臓刺激伝導系、腸管平滑筋などの興奮性組織に局在する。α3アイソフォームのポンプ機能は細胞の自律的興奮機構に適したものであることが分かった。 5.3年度にわたる自律神経系の機能構築に関連する研究を総括した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Tatsumi,H.and Katayama,Y.: "Brief increases in intracellular Ca^<2+> activate K^+ current and nonselective cation current in rat nucleus basalis neurons." Neuroscience. 58. 553-561 (1994)
-
[Publications] Kamiji,T.,Morita,K.and Katayama,Y.: "ATP regulates Synaptic transmission by pre and postsynaptic mechanisms inguinea-pig myenteric neurons" Neuroscience. 59. 165-174 (1994)
-
[Publications] Cunningham,S.M.,Mihara,S.and Lees,G.M.: "Presynaptic inhibition by neuropeptide Yof slow inhibitory synaptic transmission in submucous neurones of guinea-pig caecum." Experimental Physiology. 79. 261-264 (1994)
-
[Publications] Mihara,S.and Nishi,S.: "Neurokinin A mimics the slow excitatory postsynaptic current in submucous neurons of the guinea-pig caecum." Neuroscience. 62. 1245-1255 (1994)
-
[Publications] Tatsum,H.and Katayama,Y.: "Calcium homeostasis in the presence of fura-2 in neurons dissociated from rat nucleus basalis:theoretical and experimental analysis of chelating action of fura-2." Journal of Neuroscience Methods. 53. 209-215 (1994)
-
[Publications] Shen,Y.-L.,Hirai.K.and Katayama,Y.: "Effects of an indene-derivative,TN-871,on synaptic transmission in a sympathetic ganglion : Presynaptic actions on neurotransmitter release." Bull.Tokyo Medical and Dental University. (印刷中). (1995)