Research Abstract |
本年度は、日・印水稲品種「金南風」および「IR24」間で認められたグルテリンのIEF変異について遺伝様式、連鎖関係、三染色体分析による座乗染色体の推定ならびにRI(Recombinant Inbred)系統を用いた座乗位置の推定を行なった. IEF分析では両品種共,酸性サブユニットは12本前後,塩基性サブユニットは9本前後ポリペプチドバンドに分かれた.「金南風」では酸性バンドpI6.50,6.71,7.19,塩基性バンドpI8.13と8.24,一方「IR24」では酸性バンドpI6.59,6.80,7.15,7.52,塩基性バンド8.37および8.45バンドがそれぞれ品種特異的に認められた.F1およびF2種子の分析結果から,これらのバンドを支配する遺伝子は調節遺伝子ではなくグルテリンの構造遺伝子であり,かつ,個々のIEFバンドはそれぞれ異なる遺伝子に支配されると推察された.さらに38kDポリペプチドの構成IEFバンドpI6.71,6.80,6.50,6.59を支配する遺伝子群Glu-1t,Glu-2t,Glu-3tおよびGlu-4t間,また,37kDポリペプチドを構成するIEFバンドpI7.19,7.52および7.15を支配する遺伝子群Glu-9t,Glu-10tおよびGlu-11t間に密接な連鎖関係が認められたが,両連鎖群間には連鎖関係は認められなかった.一方,塩基性サブユニットのIEFバンドpI8.13,8.24,8.37および8.45を支配する遺伝子,Glu-5t,Glu-6t,Glu-7tおよびGlu-8tもまた密接に連鎖していた. 三染色体分析の結果,両品種間で認められたグルテリン変異を支配する遺伝子は4〜12の染色体に座乗せず,染色体1,2あるいは3の何れかの染色体に座乗すると考えられた.RI系統を用いた分析の結果,Glu-1t,Glu-2t,Glu-3tおよびGlu-4tは染色体1に座乗するDNAマーカーと,一方,Glu-9t,Glu-10t,Glu-5t,Glu-6t,Glu-7tおよびGlu-8tは染色体2に座乗するRFLPマーカー遺伝子と各々連鎖が認められ,イネのグルテリン遺伝子は染色体1および2上でそれぞれクラスターを形成していることが明らかとなった
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