Research Abstract |
花バスは花容端正,色彩優美で観賞価値が高いが,人々の嗜好の変化等から観賞植物として忘れられた存在となっている。そして,ハスは“仏花"等として,ある種のイメージが植えつけられているが,観念の中のハスは,実際にそれに触れる機会が少ないこともあって,現実のそれとは,かなりかけ離れた存在となっている。 このようなハスに対し,人々が実際にその姿に接したとき,それまで抱いていたイメージとの間のギャップをどう埋め調整し,どのような観賞内容に達していくかといった「観賞」行為をみるための,初年度分の実験・調査を行い,つぎのような成果が得られた。 1.研究代表者の所属する施設(緑地植物実験所)を会場として行われる「観蓮会」の来訪者200人を対象にして,ハス観賞の前と後にアンケートを実施し,ハスの観賞の経験の有無・回数,観賞者の属性等と,その観賞内容の変化についての関係等について解析し,一定度の知見を得た。 2.上記とは別に,40人ほどの地元の人に「ハスモニター」を委嘱し,上記施設において,一定期間をおいて,3回,ハスを観察し,観賞してもらい,その都度アンケートに答えてもらい,1)ハスに馴染みのない人が,現実のハスに接したとき,どのような観賞を行うか,2)観賞機会が増し学習過程が進むにつれて,観賞内容がどう変化し深まっていくかについてみた。 3.1,2の結果を総合し,考察を行った。また,本年度の成果を反省しながら,次年度に向けての研究計画を作成中である。とくに,アンケート内容については,本研究の最も重要な点であり,研究目的によりよく適合するよう検討を進めているところである。
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