1992 Fiscal Year Annual Research Report
トマトの根から地上部への輸送イオンバランスに関する栄養生理学的研究
Project/Area Number |
04454054
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
桝田 正治 岡山大学, 農学部, 教授 (90026617)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 博 大阪府立大学, 附属研究所, 構師 (00090457)
|
Keywords | トマト / 栄養生理 / 木部いっ泌液分析 / 重窒素 / 放射性カルシウム |
Research Abstract |
1.木部いっ泌液の成分濃度の苗齢による差を2,3,4か月齢のトマトについて調べたところ、硝酸態窒素、リン、カルシウムおよびマグネシウムの濃度は齢が進むほど低下し、カリ濃度は齢が進んでもほとんど低下しなかった。苗齢が若いときには、養分吸収濃度は培養液濃度よりはるかに高く、根は積極的に養分を吸収していることが分った。しかし,果実の有無と養分吸収ならびに輸送イオン濃度の関係を調べたところ、積極的な養分吸収は苗齢が若いことが主要因ではなく、果実が着果していないことに起因する事が明らかとなった。果実が着くと急激に輸送イオン濃度が低下することから、果実より根に何らかの信号が送られているものと考えられる。今後は2本整枝の一方に着果させ、一方を摘果して、両枝への輸送イオン濃度を分析したいと考えている。 2.生理障害“尻ぐされ"の発生にかかわる窒素(^<15>NO_3,^<15>NH_4-N)と、発生に直接関係するカルシウム(^<45>Ca)の果実への移行について調査した。 窒素は夜間よりも昼間に多く流入し、特にアンモニア態窒素の昼間の寄与率は第1段、2段果房とも果実で硝酸態窒素の約3倍、果柄で約2倍となった。 一方、カルシウムは昼間よりも夜間に多く流入し(ただし、葉への流入は昼間の方がはるかに多く、夜間の3〜8倍)、果柄では昼間の3〜4倍、ガクでは1.5〜6倍、果実では1.5〜2倍となった。 そこで、カルシウムの移動をシンプルな系で調べようとして、1果ー1葉の茎を用意し、これを^<45>Ca溶液に水ざしして、果実、葉への^<45>Ca流入を調査したところ、果実、葉とも昼夜間で流入差が認められなかった。カルシウムの地上部への移行には根の重要性が示唆されたが、この点については、1果ー1葉をもつ、よりシンプルな挿し木苗(発根苗)をつくりカルシウム吸収・移行についてさらに検討を加えたいと考えている。
|
-
[Publications] 桝田 正治: "トマトの栄養特性に関する研究(第4報)昼夜間における窒素(^<15>N)の果実への流入" 園芸学会雑誌61(別1)(東京農工大). 304-305 (1992)
-
[Publications] 桝田 正治: "トマトの栄養特性に関する研究(第5報)昼夜間における^<15>Nと^<45>Caの果実への移行" 園芸学会雑誌62(別1)(筑波大). (1993)
-
[Publications] 桝田 正治: "トマト木部いっ泌液における無機成分濃度の日変化及びその濃度に及ぼす光照度と苗齢の影響" 園芸学会雑誌. 61. (1993)