1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454055
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
稲葉 昭次 岡山大学, 農学部, 教授 (90046491)
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Keywords | エチレン生合成 / ACC合成酵素遺伝子 / インピーダンス解析 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、直流電流通電に伴うキュウリ果実のエチレン生成誘導は原形質のpH変化とトノプラストの状態変化に起因することを電気理論的インピーダンス解析により特定し、さらにエチレン生合成の律速酵素であるACC合成酵素の遺伝子フラグメントを4種類(CU-ACS-1,2,3,4)クローニングすることに成功した。最終年度である本年度は、新たな2種のACC合成酵素遺伝子のクローニングを行い、全遺伝子の塩基配列の決定と通電に伴う発現解析をノーザンブロット分析により行った。なお、傷害、オーキシンおよび高濃度炭酸ガス処理による遺伝子発現についても解析し、通電との比較を行った。また、同じウリ科であるメロン果実の既報遺伝子(ME-ACS-1,2,3)との相同性比較も行った。 1)通電により、キュウリ果実より2種のACC合成酵素遺伝子フラグメント(CU-ACS-5,CU-ACS-103)をクローニングした。CU-ACS-103はACC合成酵素遺伝子に特有の保存領域をもたなかった。CU-ACS-5の塩基配列はCU-ACS-4と極めて類似していたが、鎖長は0.4Kbp長かった。 2)メロンとの相同性比較では、CU-ACS-1はME-ACS-2(成熟型)と、CU-ACS-2はME-ACS-3(型:不明)と、またCU-ACS-3,4,5はME-ACS-1(傷害型)と高い相同性を示した。 3)ノーザンブロット分析では、通電によりCU-ACS-2を除く全ての遺伝子発現がみられた。CU-ACS-2は、オーキシン処理でのみ発現する特異な遺伝子であった。また、CU-ACS-3も炭酸ガス処理では発現しなかった。 4)これらのことより、通電は傷害刺激と類似の遺伝子発現作用をもつが、その能力は傷害刺激より遥かに強力であると判断された。
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