1994 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギーあるいは自己免疫疾患の原因抗原に特異的に応答する抗体の遺伝子解析
Project/Area Number |
04454070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野川 修一 東京大学, 農学部, 教授 (50011945)
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Keywords | MHC クラス II 分子 / T細胞膜成分 / B細胞 / 抗体産生 / β-ラクトグロブリン / 食品アレルギー |
Research Abstract |
本研究は,アレルギー誘発物質である抗原特異的なIgE抗体の産生機構を解明すべく,牛乳アレルギーの主要な原因物質であるβ-ラクトグロブリン(β-LG)の25から40領域に着目し,この領域に特異的なB細胞の分化過程を解析することを目的としたものである.我々は,昨年度までの研究から,液体因子だけを用いることによりこの領域に特異的なB細胞のT細胞依存的な抗体産生応答をin vitroで再構築することに成功している.そこで本年度の研究では,遺伝子欠損マウスを用いた実験系などから抗原特異的なIgE抗体産生応答に重要な役割を担っている可能性が示唆されているMHC class II分子に着目し,この分子から伝わる刺激の抗体産生に及ぼす役割について,in virtoの実験系を用いることにより詳細に解析した.すなわち,T細胞膜成分(PM)とサイトカインを含む培養上清(D10sup)で誘導されるT細胞依存的な抗体産生応答にMHC class IIからの刺激がどのような効果を及ぼすかについて解析した.まず,抗原であるβ-LGおよびD10supの存在下で,抗原特異性の同じt細胞クローン(H1.1)から調製し,MHC class IIからの刺激を伝えることが可能なT細胞レセプターを含むPMと,刺激を伝えることが可能なT細胞レセプターをもたないクローン(D10)から調製したPMにより誘導さける抗体産生応答を比較した.するとH1.1由来のPMがβ-LGの存在下でより強い抗体産生を誘導した.次に抗T細胞レセプター抗体を用いてMHC class IIとT細胞レセプターとの結合を阻害したところ,IgM抗体産生は影響を受けなかったのに対し,IgG抗体産生は制御された.以上の結果から,MHC class IIからの刺激はB細胞に直接的に働きかけ,IgG抗体産生を調節している可能性が示唆された.今後IgE抗体産生に対する影響も引き続き解析していく予定である.
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[Publications] Y.Takahashi,他: "In vitro culture of primary B cells specific to a short peptide" Animall Cell Technology:Basic & Applied Aspects. 6. 299-303 (1994)
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[Publications] Y.Takahashi,他: "B cell activation by plasma membranes of activated helper T cells" Proceedings of FSACT/JAACT Meeting 1994. (印刷中). (1995)
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[Publications] S.Kaminogawa,他: "Structure of Antigen,Volume 3(M.H.V.Van Regenmortel編集)" CRC Press(印刷中), (1995)