1992 Fiscal Year Annual Research Report
木材形態のフーリエ変換・自己相関法によるキャラクタリゼーションと樹種の自動識別
Project/Area Number |
04454089
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 稔 京都大学, 農学部, 助教授 (60026599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高部 圭司 京都大学, 農学部, 助手 (70183449)
佐伯 浩 京都大学, 農学部, 教授 (40026498)
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Keywords | 樹種識別 / 針葉樹材 / 広葉樹材 / 仮道管 / 木部繊維 / 道管 / フーリエ変換画像処理 / パワースペクトル |
Research Abstract |
フーリエ変換法を画像処理に活用して、木材の基本組織である仮道管・木部繊維の配列の特徴と、広葉樹材を特徴づける道管分布の特異性を、以下に述べるように定量的に解析し、樹種的な特徴を明らかにする端緒を得た (1)針葉樹の仮道管および広葉樹木部繊維の配列の数量的評価:日本産の主要50種類の横断画像から、申請者らが開発したドットマップ法によって、仮道管と木部細胞の配列情報を抽出した。そしてこれらを2次元フーリエ変換して得たパワースペクトルパターンの極座標解析により、従来評価が非常に困難であったこれら細胞の配列について高精度の数量的特徴抽出に成功した。これを樹種の自動識別に活用するために、検出精度に加えて、安定性を重視したデータ処理法を検討中である。 (2)広葉樹横断面における道管分布の特徴抽出:極低倍率画像処理法を改善し、これに前述したドップ法を組み合わせた。そして日本産32種の熱帯材広葉樹における道管分布を抽出し、これらから樹種に特徴的な興味深いパワースペクトルパターンを得ることができた。そして周波数と方位の特徴から解読することにより、従来の方法とは別に、道管分布の均一性や他の組織との関係、さらには斜方配列といった従来曖昧にされてきた広葉樹材の隠れた特徴を読みとることが可能となった。これを樹種の自動識別に発展させるために、数量化の方策を検討中である。 上記とは別に、細胞壁の高次構造のキャラクタリゼーションのために、各種のセルロース試料を用いて、フーリエ変換に基礎を持つX線回折法と電子回折法を適用した。そして精度の高いパワースペクトルパターンを得ることができるようになった。これらの成果をふまえて、木材細胞壁中におけるミクロフィブリルの存在状態(配向の乱れ、面配向、幅および間隔など)の検討に着手した。
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