1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454092
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
能登谷 正浩 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80208371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有賀 祐勝 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017022)
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Keywords | 組織培養 / コンブ目植物 / 褐藻 |
Research Abstract |
本研究は、有用藻類であるコンブ目植物の組織培養における基礎的な情報を得るため、最近申請者が開発した幼胞子体を用いる培養法によって、安定的なカルス増殖および分化特性を把握する目的で行なわれた。すなわち、(1)コンブ目植物の主な数属数種について幼胞子体からの組織培養を試み、温度および光量がカルス形成、増殖、分化に及ぼす影響を検討する。また、主な種については栄養塩濃度、植物ホルモンの影響についても検討する。更に、(2)幼胞子体各部組織からのカルス形成および分化の状況を観察する。 平成4年度は本研究第1年度であるため、先ず、配偶体の保存培養のための低温恒温器(4台)および器具、薬品等の一部を購入した。また、材料となる各種の母藻の採集と配偶体の保存培養を重点に取り組み、青森県沿岸からマコンブ、スジメ、アナメ、ツルアラメ、本州中部太平洋沿岸の神奈川県からアラメ、クロメ、島根県隠岐島からクロシオメの母藻試料を採集し、更に、和歌山県田辺産のアントクメ配偶体を譲り受け、合計8属8種について配偶体を培養保存することができた。これらのうち、アラメ、クロメ、ツルアラメ、アントクメについてはカルスの形成、増殖、分化に及ぼす温度および光量の影響を調べ、いずれの種も成育温度範囲内では、低い温度および光量下ほどカルスの増殖は速く、高い温度および光量下ほど葉状体への分化が速い傾向が認められた。また、アラメ、スジメ、アントクメについては、幼胞子体の各部組織からのカルスの形成および分化の状況を観察したところ、いずれの種も葉状部の下部、中部および茎状部組織でカルスの形成や葉状体への分化が速い傾向が認められた。
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