1992 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化対応のための紫外線照射による作物の生長促進機構
Project/Area Number |
04454103
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鈴木 義則 九州大学, 農学部, 教授 (70081495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇水 健次 九州大学, 農学部, 助手 (00240903)
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Keywords | 高温抵抗性 / 光合成 / 紫外線 / 生長促進 / 生長抑制 / 地球温暖化 / 農作物 / UV-C |
Research Abstract |
UV-C線の一時的照射による生長促進現象の再確認、促進機構、地球温暖化による高温条件での反応を調べた。 1)コマツナにおいても、10〜30分間の範囲内の幼植物に対するUV-C線の一時的照射は、初期の生長低下を経て数週間後の生長を増大させるプラスの刺激効果を示した。適度の照射による生長促進は、葉数よりは、葉面積、葉重増加により強く現われ、過度の照射による抑制も葉面積、葉重低下によるものであった。 2)地上部重/地下部重比(T/R比)、葉重/葉面積比は、UV-C処理後2週間は対照区に比べ70〜90%に低下した。3週間目には10,30分間照射区では逆に増加に転じていき、4週間目には120%を超えるものとなった。ただし、150分照射区では100%以下となり抑制が明らかに残った。 3)光合成速度(P)と蒸散速度(T)とのP/T比(水利用効率を示す)は、処理区は対照区に比べ処理直後約1週間は低下し、その後増加していった。この低下した期間の存在が重要である。 4)根部の溶存酸素の消費速度を対照区と比較した結果、地上部の生長抑制期間において、処理区は1.3〜1.6倍上回った。これは根の活力が高まったか、あるいは逆に、対照区が活力を失い処理区は正常を維持したかのいずれかと考えられる。処理後1週間目のD.0.消費速度と4.5週目の葉重の関係をそれぞれ対照区に対する比でみると、葉重の増加はD.0.消費速度の増大によりもたらされ、一方過度の照射での葉重低下は根の活力増加度合の低さとその継続時間の短さによることがわかった。 5)高温抵抗性では、気温25〜30℃(生育適温の+3〜+8℃)においても、処理区では1〜3週間にわたり光合成と水分利用効率で高まりをみせた。地球温暖化の内容は複雑であるが、温度に対しては本方法は有効と思われる。
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