1994 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物における性分化遺伝子による雄性分子機構の解析に関する研究
Project/Area Number |
04454107
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
酒井 裕 京都大学, 農学部, 助教授 (60089117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 直治郎 近畿大学, 農学部, 助手 (30212236)
細井 美彦 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70192739)
山田 雅保 京都大学, 農学部, 助教授 (10243073)
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Keywords | 雄性特異的DNA / ウシ精巣決定遺伝子(bSRY) / 雄性分化機構 / bSRY融合タンパク |
Research Abstract |
家畜、特にウシの雄性化を誘導する遺伝子産物の産生を支配すると考えられているウシ精巣決定遺伝子(bSRY)の遺伝子クローニングおよびその塩基配列を決定すると共に、ウシ初期胚へのbSRY遺伝子の導入やbSRYに対する抗体による解析から、ウシの初期発生から固体発生の過程における性分化機構を解明することを目的とした。精巣決定遺伝子(SRY)は哺乳類において保存性が非常に高いことから、ヒトSRY遺伝子の塩基配列からプライマーを選択し、ウシ精巣組織からの全RNAをテンプレートとしてRT-PCRによるbSRYcDNA配列の決定を行った。その結果、この方法で増幅されるDNA(bSRYcDNA-1)が単離され、その塩基配列(317bp)を決定することができた。次に、この塩基配列を基に5'RACEでさらにその上流101bpの塩基配列を決定することができた。しかし、この方法で決定された配列(bSRYcDNA-2)とbSRYc-1の配列を比較検討すると、このcDNAの保存領域の108bp上流からの塩基配列は二者の間で全く異なることが判明した。おそらく保存領域の108bp上流にスプライシング部位が存在することから、マウスSrymRNAと同様にbSRYmRNAの一部が環状構造を呈していることに起因することが推察された。現在、ウシ精巣ゲノムライブラリーからbSRYゲノムのクローニングと塩基配列の決定を行っている。 この決定されたbSRYcDNA配列の中に開始コドンが含まれていることから、bSRYタンパクをβガラクトシールトランスフェラーゼとの融合タンパク(bSRY-βGal)として単離することを試みた。その結果、形質転換した大腸菌からβGalアフィニティーカラムによってbSRY-βGalを高度に精製分離することができた。現在、このタンパクに対する抗体を作製し、bSRYの発現機構の解析やbSRYタンパクの機能について検討している。
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[Publications] K.UTSUMI: "Sexing of bovine embryos by PCR using borine SRY primer" Theriogenology. 41. 323- (1994)
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[Publications] N.MINAMI: "Nonspecies-specific effects of monse oviducts on the development of bovine IVM/IVF embryos by a serum free co-culture" Theriogenology. 41. 1435-1445 (1994)
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[Publications] K.UTSUMI: "Sexing of bovine embryos by PCR amplification of biopsied trophoblast cell and its clinical application" Jpn.J.Embryo Transfer. 17. 19-26 (1995)
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[Publications] K.S.KIM: "Effects of bovine follicular fluid on in vitro maturation of bovine oocytes." Jpn.J.Embryo Transfer. 17. 1-5 (1995)