1992 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺ホルモンによるウイルス性糖尿病及び他の感染症の抑制
Project/Area Number |
04454116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野寺 節 東京大学, 農学部, 教授 (90012781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 真嘉 日本大学, 農獣医学部, 講師 (50107249)
松本 芳嗣 東京大学, 農学部, 助教授 (00173922)
小野 憲一郎 東京大学, 農学部, 教授 (50111480)
土井 邦雄 東京大学, 農学部, 教授 (70155612)
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Keywords | ウイルス / 自己免疫病 / 若年性糖尿病 / 1型糖尿病 / FTS / 胸腺ホルモン / 豚 / マウス |
Research Abstract |
血清胸腺因子(FTS)を脳心筋炎(EMC)ウイルス感染マウスに前投与して、糖尿病誘発に対する抑制効果を観察した。10^4EMCウイルスを感染したBALB/cマウスは445mg/dlの血糖値を示した。これに対し、FTS10μg/頭、2回投与マウス群では317.4±183.8mg/dlの血糖値で、部分的な治療効果が観察された。FTS無処置、ウイルス非感染マウスでは136.4±32.0、FTS2回投与、ウイルス非感染マウス群では132.4±39.8mg/dlの血糖値で正常値を示した。今までの実験では、2型レオウイルス感染による糖尿病をFTSが抑制することを明らかにしているが、今回の実験では、ピコルナウイルス群の中のEMCウイルス感染症においても糖尿病の抑制の見られることが明らかとなった。EMCウイルスはヒトの若年性糖尿病のモデル動物を作製することが知られている。今回我々の実験によりヒト若年性糖尿病の予防・治療にFTS投与が有効である可能性が示唆された。 EMCウイルスは本来、豚の病原体であるため、日本の豚におけるEMCウイルスの汚染の情況を調査した。日本全国については、全体の15%の豚にEMCウイルスの抗体価が見られ、5%以上の豚で>1:125の中和抗体価が観察された。また豚の月令が増すとともに、抗体陽性率の増加するのが見られた。県別に観察すると、千葉、茨城等大都市周辺部において陽性率の高いことが観察された。すでに我々は米国において、健康人、若年性糖尿病患者とも約7%が抗体陽性であることを明らかにしている。EMCウイルスが人畜共通感染症との可能性は報告されていないが、少なくとも豚における感染症が増加した際に、ヒトにおける抗体陽性率が変動するかといった疫学的な調査が必要と考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Shibata,I., Saegami,Y. Onodera,T.: "A serol ogical survey on encephalomyocarditis virus infection of pigs in Japan." J.Vet.Med.Sci.55. 102-110 (1993)