1993 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質による自己免疫疾患としての筋無力症の発症機作の解析
Project/Area Number |
04454118
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
西村 昌数 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50011995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 栄輝 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (50178711)
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Keywords | 胸腺 / 筋力試験 / thyroxine / D-penicillamine |
Research Abstract |
化学物質の連続投与により筋力低下が発現する可能性とこれにおよぼす内因性因子の影響を調べた. 1.胸腺におよぼすthyroxine(TRX,2.66μg/g.b.w./day)連続投与の影響. ddY系両性マウスに対するTRXの2ヶ月間連続投与は,雄性マウスの胸腺重量に影響しなかったが,雌性マウスのそれを有意に増加した.このTRX感受性の性依存性は,筋無力症が女性に多いこととの関連を示唆している.この投与群に筋力低下を認めなかった. 2.筋力試験におよぼすD-penicillamine(D-PEN)連続投与の影響. 雌性マウスに対するD-PEN(200μg/g.b.w./day)の2ヶ月間連続投与は,筋力の低下を生じなかった. 3.TRXとD-PENの複合投与が筋力に与える影響. 始めの1ヶ月間D-PENを,次の1ヶ月間TRXを投与した雌性マウスでは,腹水の貯留と共に有意な筋力の低下を認めた.始めの1ヶ月間TRXを,次の1ヶ月間D-PENを投与した雌性マウスでは,腹水にも筋力にも有意な変化を認めなかった. 4.筋力低下を示すマウスの免疫学的試験. 前3項の実験で筋力低下を示したマウスの血液で受動免疫を受けたマウスに筋力低下を認めず,その筋力低下が抗体発現による自己免疫疾患であることを示し得なかった. 5.TRXの作用の性依存性確認試験. 去勢雄性マウスにおける再現試験は成功しなかった.これは単に男性ホルモンの活性の低下が関連することを意味するものではなく,先の実験3項で認められた筋力低下が,腹水貯留による二次的影響である可能性を支持するかも知れない.
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