1992 Fiscal Year Annual Research Report
イノシトール3燐酸レセプターの微細局在とその制御機構
Project/Area Number |
04454125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 京都大学, 医学部, 助教授 (50115929)
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Keywords | イノシトール3燐酸レセプター / カベオラ / 細胞膜 / カルシウム / 細胞内情報伝達 / 血管内皮細胞 / 平滑筋細胞 / 表皮角化細胞 |
Research Abstract |
マウス小脳より精製されたイノシトール1,4,5-3燐酸レセプター(IP3R)に対するモノクローナル抗体を用いて、免疫細胞化学的および免疫化学的にIP3Rの細胞内微細局在について検討した。 1)成熟マウスの表皮角化細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞の凍結超薄切片を作成し、コロイド金免疫電顕法により検索した。その結果、IP3RあるいはIP3Rに極めて類似した240kDの蛋白質は、平滑筋細胞を除いて細胞内のオルガネラには認められず、ほとんど細胞膜にのみ存在した。しかも大部分の標識は、細胞膜の小陥凹であるカベオラ(caveola)に集中した。 2)上記の240kD蛋白質が細胞表面に露出していることを免疫化学的に検索した。すなわち、培養血管内皮細胞を膜不透過性のビオチン化試薬で処理したのち、膜蛋白質を可溶化し、固定化ストレプトアビジンで回収した。対照として用いた小胞体の蛋白質はビオチン修飾を受けないことから、この実験の有効性が確かめられた。240kD蛋白質は回収画分、すなわちビオチン修飾を受けた画分に見出され、細胞表面に存在することが証明された。 3)マウス角化細胞株(PAM212)およびウシ大動脈内皮細胞を培養し、240kD蛋白質の分布を蛍光抗体法により観察した。PAM212においては細胞間接着面に存在し、アクチン線維束が同部位に形成されるとともに集中の度合が増した。ウシ大動脈内皮細胞では、アクチン線維の一部に沿って分布することが認められた。 以上の結果より、240kDのIP3R様蛋白質が細胞膜カベオラに局在することが証明され、またアクチン線維との関連が示唆された。
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