1992 Fiscal Year Annual Research Report
外来遺伝子導入レトロウイルス接種による新生嗅細胞の選択的標識とその脳内投射
Project/Area Number |
04454133
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小野田 法彦 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60106903)
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Keywords | Moloney Murine Leukemia Virus / Chloramphenicol transferase(CAT)gene / lac Z gene / ψ^- / 免疫組織化学 / 外来遺伝子 |
Research Abstract |
1.レトロウイルスへの外来遺伝子の導入 (1)Moloney Murine Leukemia Virus(Mo-MuLV)を用いた。 (2)pZip Neo SV(X)1にChloramphenicol acetyl transferase (CAT) geneを挿入したpZip-CAT vectorを作製した。 (3)E.coliのβ-galactosidase(β-gal)をコードするlac Z geneを挿入したBAG virus vectorを作製した。 (4)Helper virusの助けを借りて、packaging signalを欠いたψマイナスであるψ-cell lineを作製した。 (5)ψ-cellにCa_3(PO_4)_2法を用いてCAT vector及びBAG vectorを組み入れた。 (6)Neo^Rを利用し、Neomycin培地にてvirus producing cell lineを選別し、prosducing cellを凍結保存した。 2.外来遺伝子組み換えウイルスの濃縮 (1)凍結保存されたvirus producing cellを100mm dishにまき、37℃で培養した。 (2)3-7日後、trypsin処理により回収後、100mm dishを10ケ位に増し、virus producing cellを増殖した。 (3)上澄みのみを集め遠心し、また上澄みのみを集め超高速遠心し、上澄みを除去後、除去された上澄みの約1%量のmediumを加えpipetingを行い、filterにて濾過し、凍結保存した。 3.ウイルス産生細胞の免疫組織学的検定 (1)virus producing cellをカバーガラス上にて培養した。 (2)カバーガラスを取り出し、PBSにて洗浄し、4%パラフォルムアルデヒドにて固定。再度PBSにて洗浄した。 (3)カバーガラスに一次抗体、二次抗体と順に滴下した。 (4)ABC(Vecterstain)液を滴下し、DAB,H_2O_2にて発色した。 (5)検鏡した結果、CAT陽性細胞を確認した。 4.ウイルス感染の免疫組織学的検定 (1)カバーガラスにNIH3T3細胞を培養した。 (2)濃縮したウイルスを加え、neomycinを追加し、さらに2日間培養した。 (3)3の(2)〜(4)と同様に免疫組織化学法を行い、検鏡した結果、CAT陽性細胞を確認した。 5.平成4年10月1日付にて、本学生理学第一講座への転任のため、当初の研究計画中、動物への接種が不可能となり、すべての実験をin vitroの系へと変更せざるをえなくなった。しかし、本学に赴任以前に、本年度研究経過にて記述した組換えvirusをラット20匹に接種実験を行った。接種後、経時的に動物を固定し、嗅粘膜を脱灰し、切片を作製した。抗CATを用いて免疫組織化学法にて検索したが、CAT陽性細胞は見られなかった。作製されたvirus producing cell lineのtiterが低いのか、virusのenv geneの感染力が低いのか、今後の問題である。env geneを変えるのは危険であるため、titerの高いvirus producing cell lineの作製が要求された。 6.最後に、転任に伴い、設備品の発注、納入が大幅に遅れ、研究は未だ再開できず、研究計画は遅延している。
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