1994 Fiscal Year Annual Research Report
海馬可塑性の分子機構-キンドリングと長期増強における遺伝子発現
Project/Area Number |
04454142
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Research Institution | NATIONAL INSTITUTE FOR PHYSIOLOGICAL SCIENCES |
Principal Investigator |
小幡 邦彦 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 教授 (60013976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山肩 葉子 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (20210338)
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Keywords | 海馬 / 神経可塑性 / キンドリング / タンパク質リン酸化 / 分子クローニング / 長期増強 |
Research Abstract |
本研究ではシナプス可塑性としてラット海馬のキンドリングと長期増強をとり上げ、その際の遺伝子発現、蛋白質の変化を明らかにして、分子機構を考察する。前年度までに、1)キンドリングラット20匹の海馬からコントロールを差し引いたサブトラクテッドcDNAライブラリーを作り、これについてディファレンシャル・スクリーニングを行って、キンドリングで増加するmRNAとしてチトクロム・オキシダーゼのサブユニット2及び3を見出した。2)シナプス小胞蛋白質シナプシンIのカルシウム・カルモジュリンキナーゼIIによるリン酸化を測定し、キンドリング・ラットの大脳皮質、海馬ではリン酸化が亢進していることを見出した。3)海馬スライス標本の活動を電気的及び光学的に計測して、薬物でけいれん波を1時間以上起こした後、in situハイブリダイゼーションを行い、c-fos mRNAがけいれん波の起源であるCA3錐体細胞にのみ発現することを見出した。今年度は1)海馬スライス標本にテトラエチルアンモニウムを投与して長期増強様変化を起こした後、そのスライスからcDNAライブラリーを作成しディファレンシャル・クローニングした結果、増加しているcDNA2個を得て、解析した。2)キンドリングの刺激中と刺激終了後の経過と遺伝子発現との関係を明らかにするため、高感度であるディファレンシャル・ディスプレイ法で、後発射を電気記録したラット1匹ごとについて、mRNA量の比較・検討を行った。3)長期増強発生後の海馬スライスに起こる神経発生関連蛋白質ドレブリンの増加を免疫組織化学でしらべた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Obata K.: "Impairment and ercovery of spatial learning after partial loss of hippocampal CA1 neurons induced by kainic acid." Biomed.Res.15. 61-64 (1994)
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[Publications] Maruyama K.et al.: "Cleaveag at the N-terminal site of Alzheimer amyloid b/A4 protein is essential for its secretion." Biochem.Biophys.Res.Comm.202. 1517-1523 (1994)
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[Publications] Yamagata Y.et al.: "Increase in syanapsin I phosphorylation implicates a presynaptic component in septal kindling." Neuroscience. 64. 1-4 (1995)
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[Publications] 小幡邦彦: "キンドリングラット:神経可塑性モデル" Brain Medical. 6. 173-178 (1994)
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[Publications] 山肩葉子,小幡邦彦: "キンドリングの分子メカニズム" 神経進歩. 38. 838-853 (1994)
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[Publications] 丸山敬 他: "ラット海馬の長期増強(LTP)に関連して発現する遺伝子の検索の試み" 神経化学. 33. 616-617 (1994)
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[Publications] 小幡邦彦,外山敬介,高田明和,熊田 衛: "新生理学" 文光堂, 553 (1994)