1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454143
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
彼末 一之 大阪大学, 医学部, 助教授 (50127213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 素子 大阪大学, 医学部, 助手 (30220198)
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Keywords | 視束前野 / 前視床下部 / ふるえ / 皮膚血管運動 / 左右 |
Research Abstract |
視束前野・前視床下部(POAH)は体温の恒常性維持に不可欠な多くの自律性及び行動性反応間の協調,さらには体温調節と他のホメオスタシス調節との機能連関に中心的な役割を果たしており、この統御機能について温度ニューロンを中心に行われた神経生理学的研究から多くの知見が得られてきた.POAHを温度刺激すると適切な調節反応が起こることから,体温調節に関係した温度ニューロンがPOAHに存在することは間違いない.しかし,体温調節系の細かい神経回路網が不明で,今のところ温度感受性という必要条件のみがニューロンを同定する方法なので、温度ニューロンの反応性に関する知見とマクロな調節反応の解析結果を残念ながら直接には結び付けられない.そこで本年度はそれを明らかにする第1歩として左右のPOAH間には体温調節特にふるえの調節に関して情報の交換があるかの解析を行った.実験はケタミン麻酔下のラットで行い,大腿四頭筋から筋電図を測定した.ラットを脳定位固定装置に固定し,熱電対と一体になった微小熱極をPOAH内に挿入した.さらにPOAHの尾側で一側の視床下部全体を前額断面でハラス型のマイクロナイフで切断する。つまり切断側ではPOAHから下位への接続が絶たれている.熱極に高周波(500kHz)電流を通電して局所脳温を42℃までランプ状に上昇させる.室温15-20℃にラットを暴露し定常的なふるえが観察された状態で局所脳温を上昇,ふるえの抑制を反応として解析した.健常側の刺激はふるえを抑制したが、切断側の刺激は無効であった.この結果はふるえの調節には左右のPOAH間に情報のやり取りのないことを示唆する.
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