1992 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性を有するプロテオグリカン糖鎖の再構築に関する糖鎖工学的研究
| Project/Area Number |
04454153
|
|---|
| Research Institution | Hirosaki University |
|---|
Principal Investigator |
遠藤 正彦 弘前大学, 医学部, 教授 (20004616)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 淳 弘前大学, 医学部, 助手 (20241458)
高垣 啓一 弘前大学, 医学部, 助教授 (70163160)
|
|---|
| Keywords | 糖鎖工学 / プロテオグリカン / エンド型グリコシダーゼ / 糖鎖の切り出し / 糖鎖の再構築 |
|---|
| Research Abstract |
本研究は、生理活性を有する糖鎖を高分子糖鎖より選択的に切り出すこと、その糖鎖を化学的酵素的に再構築すること等の、プロテオグリカンに関する糖鎖工学的研究である。この目的に沿って研究が行われ本年度以下の研究実績が得られた。
1.糖鎖を切り出すエンド型グリコシダーゼの発掘
糖鎖工学的研究には、糖鎖の内部を切断する酵素として、エンド型グリコシダーゼが必要であるが、現在利用できる酵素の数は少ない。当研究グループは、プロテオグリカンの糖鎖とタンパク質との結合部位に働くエンド-β-ガラクトシダーゼの蛍光標識基質を自ら合成し、これを基に、初めて本酵素の分離精製に成功した。(J.Biol.Chem.,267,18558,(1992))
2.エンド型グリコシダーゼによって生理活性を有する糖鎖の切り出しと再構築
老化に伴い細胞外マトリックスに石灰化、すなわち、リン酸カルシウムが沈着するのは、プロテオグリカンの糖鎖が、老化に伴って変化することによることを明らかにし、このリン酸カルシウムと結合能を持つ糖鎖を、当研究グループの発見したエンド型グリコシダーゼを用いて切り出すことに成功し、更に、その化学構造を質量分析計で決定する方法を確立した。(Connect.Tissue,24,109(1992),Glycoconjugate J.,9.174(1992),他投稿中)
更に切り出された糖鎖を再構築する方法として、グリコシダーゼの逆反応を利用し、糖鎖の伸長を試みたところ、6糖から12糖の新しい糖鎖の合成に成功した(第65回日本生化学大会報告 投稿準備中)。
|
-
[Publications] 高垣 啓一,中村 敏也,武田 裕介,大道寺 浩一,遠藤 正彦: "A new endo-β-galactosidase acting on the Galβ1→3Gal linkage of proteoglycan linkage region (プロテオグリカンの結合部Gal→Galに作用するエンド-β-ガラクトシダーゼ)" Journal of Biological Chemistry. 267. 18558-18563 (1992)
-
[Publications] 高垣 啓一,児島 薫,真嶋 光雄,加藤 郁之進,遠藤 正彦: "Ion-spray mass spectrometric analysis of glycosaminoglycan oligosaccharide (グリコサミノグリカン・オリゴ糖のイオンスプレー型質量分析計による分析)" Glycoconnjugate Journal. 9. 174-179 (1992)
-
[Publications] 武田 裕介,原田 征行,高垣 啓一,成田 穂積,遠藤 正彦: "Characterization of glycosaminoglycsns in ossified human yellow ligament (ヒト骨化黄色靭帯のグリコサミノグリカンの性状)" Connective Tissue. 24. 109-114 (1992)
-
[Publications] 中村 敏也,高垣 啓一,久保 恒明,斉藤 太郎,遠藤 正彦: "Hyaluronic acid synthesized by cultured skin fibroblasts derived from patients with Werner's syndrome (ウエルナー症候群患者皮膚線維芽細胞により産生されるヒアルロン酸)" Biochimia et Biophysica Acta. 1139. 84-90 (1992)
-
[Publications] 田中 昭宏,森川 晶子,斉藤 良治,田村 真理,中村 敏也,高垣 啓一,遠藤 正彦: "Simple measurement of glycosaminoglycan produced by cultured fibroblasts using 4-methylumbelliferyl β-D-xyloside (4-メチルウンベルフェリルキシロシドを用いた培養線維芽細胞の産生するグリコサミノグリカンの定量法)" Journal of Biochemical and Biophysical Methods. (1993)
-
[Publications] 吉原 秀一,佐々木 睦男,横山 慎,遠藤 正彦,今 充: "Enzymic determination of glycoconjugates in human pancreatic juice (ヒト膵液中の複合糖質の酵素的定量)" International Journal of Pancreatology. (1993)
-
[Publications] 遠藤 正彦,高垣 啓一,中村 敏也: "Endoglycosidases acting on the linkage region between the core protein and glycosaminoglycan chains of proteoglycans" CRC Press, 26 (1992)
