1992 Fiscal Year Annual Research Report
増殖抑制に働くG蛋白の生理機能とそれを介するシグナル伝達系の解明
Project/Area Number |
04454154
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
井川 洋二 東京医科歯科大学, 医学部生化学, 教授 (40085618)
|
Keywords | 増殖抑制遺伝子 / 小分子量G蛋白質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Krev-1遺伝子産物の生理機能を明らかにするために、ラットの脳脊髄を用いて以下の研究を行なった。 (1)Krev-1 cDNA 断片の単離、 (2)脳脊髄系におけるmRNA発現の時期、場所、量および蛋白質の局在の検討、 (3)一次感覚刺激の情報伝達との関係。 (1)ラットKrev-1 cDNA は未だ報告されていないので、ラット脳全RNA分画からヒトKrev-1の塩基配列を利用してRT-PCRによりそのcDNA断片(330 bp、コード領域)を増幅、単離した。ヒトKrev-1 cDNA 塩基とは86.4%のホモロジーがあり、アミノ酸置換ではKrev-1特異領域(Glu-30、Lys-31を含む)はそのまま保存されていて、109個のアミノ酸のうち他領域で3個のアミノ酸置換があった。 (2)そのcDNA断片をプローブとしてラット脳脊髄のノザンブロット解析を行なった。Krev-1 mRNAは生後0日から大脳皮質、脊髄(前角、後角)、小脳、嗅球、海馬に発現していて、いずれの領域にも二種類のmRNA(2.1kb、2.7kb)が存在した。そこで蛋白質はどうか、脳脊髄のSDSゲル電気泳動を行ない抗Krev-1単抗体T22を用いてウエスタンブロット解析を行なった。大脳皮質、脊髄(前角、後角)、小脳、嗅球、海馬いずれの領域にも分子量22,000の蛋白質が一つが存在した。二種類のmRNAからその転写、翻訳の分子調節機構の存在が示唆されるので、ラット脳脊髄のcDNAライブラリーを作製して上記cDNA断片をプローブとしてcDNAクローニングを行なう計画である。 (3)神経機能との関わりでは、まずシナプトソーム分画のウエスタンブロット解析により、Krev-1蛋白質が脊髄神経細胞シナプス膜に局在することを明らかにした。次に一次感覚神経からの刺激に伴い脊髄でc-fos mRNAの増加に引き続いてKrev-1 mRNAの増加することを見出した。
|