1993 Fiscal Year Annual Research Report
先天性代謝異常-脳腱黄色腫(CTX)-の遺伝子解析と診断への応用
Project/Area Number |
04454167
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
脊山 洋右 東京大学, 医学部(医), 教授 (90010082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗山 勝 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (80107870)
加納 和孝 東京大学, 医学部(医), 助手 (70111507)
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Keywords | 脳腱黄色腫 / CTX / 遺伝子診断 / ステロール27位水酸化酵素 |
Research Abstract |
先天性代謝異常症「脳腱黄色腫(CTX)」はアキレス腱における黄色腫のほかに知能低下、歩行障害、失語性言語障害などを伴う疾患である。発症した患者の生化学的診断は申請者らが確立した血清コレスタノールの定量により可能である。本研究においては発症前診断法の確立を日指して遺伝子解析を行った。患者の線維芽細胞を培養し、ステロール27位水酸化酵素活性を測定したところ、活性が低下していることが明らかになった。そこでこの線維芽細胞からRNAを抽出して、RT-PCR法でcDNAとした後に、その塩基配列を調べたところ、3人の患者及びその家族(ヘテロ保因者)では441番目のコドンG→A[CGG(Arg)→CAG(Gln)]或いはC→T[CGG(Arg)→TGG(Trp)]の1塩基置換が見つかった。この部位は酵素のヘム結合ドメインであることから、患者では活性のないタンパク質が合成されて、コレステロールから胆汁酸に至る代謝経路で、側鎖切断が障害された結果として脳腱黄色腫症が引き起こされたことが明らかになった。また、これらの塩基置換はそれぞれSTUI及びHpaIIという制限酵素によるRFLPのパターン異常をもたらすので、線維芽細胞のRNAから得たPT-PCR産物について当該酵素を用いて調べると、それぞれの家系内における遺伝子異常の診断が可能であることが示された。この遺伝子異常はアメリカのRussellらの報告例とは異なり、またイスラエルの症例とも異なっていた。また、家系の間でもRFLPのパターンが異なることから、一般的なマススクリーニングとしての遺伝子診断はできないが、一つの家系内ではホモ接合体、ヘテロ接合体、正常の鑑別に有効な手段であることがわかった。今後、培養を必要とする線維芽細胞ではなく白血球細胞で遺伝子解析が実施できるようにすべく、研究を発展していきたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kuriyama,M.et al.: "Cerebrotendinous xanthomatosis:clinical and biochemical evaluation of eight patients and review of the literature." Journal of Neurological Science. 102. 225-232 (1991)
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[Publications] Kim,K-S.et al.: "Corneal dystrophy with calcium phosphate deposition in cholestanol-fed mice." Analytical Science. 7. 929-932 (1991)
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[Publications] Kim,K-S.et al.: "Effects of cholestanol feeding on corneal dystrophy in mice." Biochimica Biophysica Acta. 1085. 343-349 (1991)
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[Publications] Nagata,K.et al.: "Identification of 7alpha-hydroxy-3-oxo-4-cholestenoic acid in chronic subdural hematoma." Biochimica Biophysica Acta. 1126. 229-236 (1992)
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[Publications] Kim,K-S.et al.: "Gallstone formation in cholestanol-fed mice." Journal of Biochemistry. 113. 420-424 (1993)
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[Publications] Kim,K-S.et al.: "Identification of new mutations in sterol 27-hydroxylase gene in Japanese Patients with cerebrotendinous xanthomatosis." Journal of Lipid Research. 35(in press). (1994)