1992 Fiscal Year Annual Research Report
肝癌発生過程におけるgenomic instabilityの分子機構の解明
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04454190
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
樋野 興夫 (財)癌研究会, 癌研究所・実験病理部, 部長 (90127910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 康雄 名古屋大学, 理学部, 教授 (30190218)
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Keywords | 慢性肝炎 / 肝癌 / 肝発癌 / genomic instability / in vitro recombination / 癌関連遺伝子 / B型肝炎ウイルス / 分子病理学 |
Research Abstract |
最近、mutator phenotypeないしgenomic instabilityが多段階発癌の進行モーメントとして、重要視されている。ヒト肝癌の場合、大部分は肝炎ウイルス{B形(HBV)およびC型(HCV)}に由来するものであり、基本的には肝炎→肝硬変→肝癌の経過をたどる。肝炎ウイルス(HBVおよびHCV)による慢性肝疾状態から肝癌が多発するメカニズムとして、細胞回転の亢進による高危険状態の招来があるが、このこととは別に、ウイルス産物あるいはウイルスそのものによるgenomic instabilityが癌関連遺伝子(癌遺伝子および癌抑制遺伝子)の発現異常を惹起する可能性も指摘される。実際、申請者は、in vitro系を用いて、HBVのpre-c領域が、insertion pointより離れた所で、増殖状態の細胞の抽出液の存在下において、DNAの相同組み換えを促進させることを明らかにした。申請者は、この線にそった研究を更に発展させるため、本研究において肝癌発生過程で、genomic instabilityが生ずるメカニズムを分子機構のレベルで明らかにしようとする。 まず、平成4年度は、in vitro recombination assayでrecombinationを促進する細胞抽出液中に存在する蛋白が、特異的に結合するHBVのpre-c領域内の塩基配列を決定した。さらに、このDNA断片によるin vitro recombination assay系を作成した。 現在、recombinationに関与する宿主蛋白が特異的に結合する塩基配列のoligo DNA probeを用いて、癌細胞のcDNA libraryをsouth-western法によって、スクリーニングし結合蛋白のクローニングを試みている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 樋野 興夫: "肝癌ー癌遺伝子" 肝胆〓. 25. 1119-1122 (1992)
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[Publications] 樋野 興夫: "B型肝炎ウイルストラレスジェニックマウスー肝炎,肝癌の発症機構の研究ー" 日本臨床. 51. 279-283 (1993)
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[Publications] Hino,O: "Evidence for increased in vitro recombination with insertion of human hepatitis B virus DNA" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 88. 9248-9252 (1991)
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[Publications] Buetow.K.H: "Low frequency of p53 mutations observed in a diverse collection of primary hepatocellular carcinoma" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 89. 9622-9626 (1992)
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[Publications] Yasui,H: "Clonal growth of hepatitis B virus-integrated hepatocytes in cirrhetic liver modules" Cancer Res. 52. 6810-6814 (1992)
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[Publications] Hino,O: "Comparative molecular pathogenesis of hepatocellular carcinomas" Comparative Molecular Carcinogenesis. 173-185 (1992)