1992 Fiscal Year Annual Research Report
トリパノソーマ科原虫に特異的な核酸塩基合成酵素の生化学的分子生物学的解析
Project/Area Number |
04454192
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
青木 孝 順天堂大学, 医学部, 教授 (20053283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋田 淳子 順天堂大学, 医学部, 助手 (20211964)
古島 理江子 順天堂大学, 医学部, 助手 (50146776)
高宮 信三郎 順天堂大学, 医学部, 助教授 (90138206)
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Keywords | Trypanosoma / glycosome / ピリミジン塩基生合成 / オロト酸ホスホリボシルトランスフェラーセ / OMPデカルボキシラーゼ / 遺伝子クローニング / 細胞分画 / 細胞内局在性 |
Research Abstract |
トリパノソーマ科原虫のピリミジン塩基合成経路は、他の生物の場合と同様に6種の酵素の連続反応から成る。他の生物に認められない特異な性質として、第5、第6の酵素OPRT、OMP-DCはトリパノソーマ科原虫にのみみられる細胞小器官glycosomeの膜に存在すると考えられているが、詳細な研究はまだない。そこでこれらの酵素の局在性、酵素学的特性を明らかにする目的で培養型虫体を細胞分画し、得られた画分(3800g沈渣、26000g沈渣、225000g沈渣里び上清)の酵素活性を分光学的に測定するとともに、電顕観察を行った。その結果、両酵素の比活性は26000g沈渣で最も高く、活性の大部分は同沈渣に回収されたことから、両酵素は強い膜結合性を示すと考えられた。さらに各画分の電顕観察により、26000g沈渣はglycosome richと考えられる比較的均一な一重膜袋状構造を含むことが明らかになり、glycosomeと両酵素の膜結合性の関連が強く示唆された。 以上のような生化学的アプローチと平行して、分子生物学的方法を採用し、特にOPRTについて解析を進めた。ヒト、粘菌、酵母、大腸菌のOPRTタンパク質のアミノ酸配列を比較し、よく保存されている領域を選び、それに対するoligonucleotideプライマーを合成した。Trypanosoma cruzi、epimastigoteのtotal RNAを常法に従って抽出し、逆転写酵素反応により得られたcDNAを鋳型とした。上記プライマーを用いてPCRを行ったところ、予想される長さのフラグメントが得られたのでサブクローニングを行った。今後さらに研究を進め、OPRTおよびOMP-DC遺伝子の解析により、ターゲッティングシグナル、疎水性領域の有無などから、これらの酵素のglycosomeにおける局在性を明らかにしたいと考え、現在検討を続けている。
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[Publications] 古島 理江子: "Trypanosoma cruziのピリミジン合成酵素とglycosomeの関係" 寄生虫学雑誌(増刊号). 41. 59-59 (1992)
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[Publications] 古島 理江子: "Trypanosoma cruziのOrotate phosphoribosyltrans-ferase(OPRT)およびOrotidine-5´-phosphate decarboxylase(oMP-DC)について" 寄生虫学雑誌. 41. 77-77 (1992)
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[Publications] 嶋田 淳子: "トリパノソーマと宿主細胞のin vitroの培養モデル系の確立" 第52回日本寄生虫学会東日本大学口演要旨集. 33-33 (1992)
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[Publications] 嶋田 淳子: "In vitro感染系を用いた抗トリパノソーマ薬とスクリーニング法の開発" 寄生虫学雑誌(増刊号). 42. 51-51 (1993)