1992 Fiscal Year Annual Research Report
活性毒素フラグメントを用いた破傷風毒素の神経伝達阻害作用の分子機構解明
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04454195
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 守弘 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (20029771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡部 登志男 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80204014)
杉本 央 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (20142317)
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Keywords | 破傷風毒素 / 毒素フラグメント / 神経伝達物質 / 開口分泌 / 副腎クロマフィン細胞 / C-キナーゼ |
Research Abstract |
1,破傷風毒素のフラグメントのすべての組合せを単離精製し、それらが高度に純化された標品であることを毒素分子の各ドメインに特異的なモノクローナル抗体を用いて示し、これらのうちフラグメント〔A〕が毒素の扱い手であることを、副腎クロマフィン細胞を透過性にした細胞素で示した。2。破傷風中毒細胞における毒素結合物質の細胞内局在について調べ、毒素、フラグメント〔A〕の単離クロマフィン顆粒画分との結合は、イムノブロット法では検出できなかったが、抗フラグメント〔A〕抗体と蛍光ラベル2次抗体によるin situの免疫組織化学によって網目状のはっきりとした蛍光分布を認め、毒素が細胞内構造物(クロマフィン顆粒または細胞骨格)と結合している結果を得た。その場合Fアクチンを特異的に蛍光ラベル-ファルロイジンで染めると 毒素によるカテコラミン分泌阻害に併行して、開口分泌にともなう細胞辺緑のアクチンリングの断裂がみられなくなることを示した。さらに脳の神経終末顆粒からシナプトゾーム小胞を分離し、一方抗カルパクチン抗体を調製しその細胞内分布を調べたので、それらとの関係を含めて、現在、免疫電顕的に毒素が結合する細胞内構造物の同定をすすめている。3。毒素の作用標的を明らかにするため細胞内情報伝達に与かるサイクリックヌクレオチド代謝、Ca^<2+>結合蛋白質との関係について調べ、これまで報告されていたCGMPとの関係を明らかに否定した。またカルモジュリンと毒素作用点とは直接関係ないことを明らかにした。その際カルモジリンが神経伝達物質放出に関与していることを明らかにした。4。中毒細胞におけるA^-,G^-,C^-キナーゼなど酵素系の変化、蛋白リン酸化との関係を調らべ これらとくにこれまで関係ありと報告されていたC-キナーゼが毒素の標的ではないことを明らかにした。その際C-キナーゼが開口分泌のmodulatorとして働いていることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Okabe, N.Sugimoto and M.Matsuda: "Calmodulin is involved in catecholomine secretion from digitonin-permeabilized bovine adrenal medullary chromaffin cells" Biochem. Biophys. Res. Commun.186(2). 1006-1011 (1992)
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[Publications] M.Matsuda, M.Kamei, N.Sugimoto, Y.Ma, and S. Hashizume: "Characteristics of toxin-neutralization by anti-tetanus human monoclonal antibodies directed against the three functional domains (A), (B) and (C) of the tetanus toxin" molecule and a reliable method for evaluating the protective effects of monoclonal antibodies Eur. J. Epidemiol.8(1). 1-8 (1992)
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[Publications] 岡部 登志男, 杉本 央, 堀口 安彦, 松田 守弘: "破傷風毒素による開口分泌阻害と開口分泌に重要な役割をもつCa^<2+>受容タンパク質との相互関係" 日本細菌学雑誌. 47. 105- (1992)
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[Publications] 松田 守弘: "破傷風神経毒素の構造・作用と破傷風の病態生理" 日本医事新報. 3545. 180-181 (1992)
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[Publications] M.Matsuda, T.Okabe and N.Sugimto: "Tetanus neurotoxin:(1) Immunological roles of fragments of the toxin in protection, and (2) attempts to identify target site(s) of its toxic action" Plenum Publishing Corp,New York. (ed. B.R.DasGupta), . 273-286 (1993)
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[Publications] M.Matsuda, M.Kamei, M.Sigimoto, Y.Ma and S.Hashizume: "Anti-tetanus human monoclonal antibodies with high protective activity" The Venom and Toxin Research Group,National University of Singapore (eds. P. Gopalakrishnakone, C.K. Ten), . 349-354 (1992)