1992 Fiscal Year Annual Research Report
日本脳炎ウイルスE糖蛋白の構造に基づく病原性の解析
Project/Area Number |
04454204
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
保井 孝太郎 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学, 副参事研究員 (90073080)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅又 昌実 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学, 流動研究員
宮本 道子 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学, 主亊研究員 (40190821)
木村 純子 (財)東京都神経科学総合研究所, 微生物学, 主亊研究員 (20142151)
|
Keywords | 日本脳炎ウイルス / 感受性 / 細胞受容体 / E蛋白 / M蛋白 / preM蛋白 / E蛋白構造 |
Research Abstract |
ラット脳初代培養系を用いて、神経細胞の分化・成熟と日本脳炎ウイルスに対する感受性との関係を調査した。その結果日本脳炎ウイルスは神経細胞に感染するが、グリア細胞にはほとんど感染増殖しないこと、培養初期の未熟神経細胞は高い感受性を持っているが、分化・成熟が進んだ神経細胞は感受性が低下しておりほとんど感染しないことが明らかになった。この感受性の変化がE蛋白と神経細胞に存在する受容体との結合力に起因するものであるかどうかを明らかにするための第一段階として、神経系細胞を中心とした各種培養細胞株の感受性と日本脳炎ウイルスの細胞への吸着および侵入効率の関係を調ベた。その結果、日本脳炎ウイルスに対する各種細胞の感受性と、ウイルスの細胞への吸着および侵入効率との間には正の相関があることが明らかになった。また高感受性細胞は低感受性細胞に比較して、親和性の高い受容体が存在していることが明らかになり、日本脳炎ウイルス受容体とおもわれる蛋白を検出した。一方日本脳炎ウイルスの粒子の分子構造、特にE蛋白の構造を解析した。その結果、日本脳炎ウイルスは小胞体腔で粒子が形成され、E蛋白はpreM蛋白とヘテロダイマーとして合成され、ゴルジ装置においてpreM蛋白がMへとプロセスされ感染性を持った成熟粒子となって細胞外へ放出されること、プロセスされたM蛋白は、E蛋白とヘテロダイマーを形成し、E蛋白の抗原構造の構築とそれを維持する役割を担っていることが分かった。またM蛋白へとヘテロダイマーを形成しているE蛋白は、酸性条件下で処理するとホモトライマーとなることが明らかになった。この結果は、ウイルス粒子上のE蛋白が細胞受容体と結合後構造変化を起こし膜融合を誘導する反応を示しており、ウイルス感染の初期過程の素反応を解析できる系ができたことを表している。
|
-
[Publications] Sato,T.,Takamura,C.,Yasuda,A Miyamoto,M.,Kamogawa,K.,Yasui,K.,: "Highーlevel expression of the Japanese encephalitis virus E protein by recombinant vaccinia virus and enhancement of its extracellular release by the NS3 gene product" Virology. 192. 483-490 (1993)
-
[Publications] KimuraーKuroda,J.Ichikawa,M.,Ogata,A.,Nagashima,K.,Yasui,K.,: "Specific Tropism of Japanese encephalitis virus for developing neurons in primary rat brain culture" Archivs of Virology. (1993)