1993 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト培養細胞におけるAmesテスト陰性の環境発がん物質によるDNA損傷の解析
Project/Area Number |
04454216
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
川西 正祐 京都大学, 医学部, 講師 (10025637)
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Keywords | 培養細胞 / Amesテスト / 発がん物質 / DNA損傷 / パルスフィールドゲル電気泳動法 / ヒドラジン / トリプトファン代謝物 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
Amesテストによる変異原性の検定が発がん物質の第一次スクリーニングとして有効であるとされてきたが、最近の研究によれば変異原性と発がん性との一致率は、60%程度に低下している。Amesテスト陰性の発がん物質の第一次スクリーニングを開発することは衛生学領域において極めて重大な緊急課題である。本研究の目的はこれまで単離DNAで明らかにしたAmesテスト陰性の発がん物質によるDNA損傷がヒト培養細胞においても同様の機構で起こるかどうかをパルスフィールドゲル電気泳動法で解析することである。 (1)パルスフィールドゲル電気泳動法により巨大DNA(0.1〜5Mb)を分離するために基本的な条件を検討し、DNA損傷についてDNA二本鎖切断およびDNA一本鎖切断の定量法を確立した。(2)ヒト培養細胞(Raji細胞、HeLa細胞、HL-60)をAmesテスト陰性または変異原性の弱い発がん物質(カフェー酸、ヒドラジン類、トリプトファン代謝物(3-ヒドロキシルアントラニル酸や3-ヒドロキシルキヌレニン酸)で処理した。一定の時間後蛋白質を加水分解しパルスフィールドゲル電気泳動を行ない、DNA損傷を測定した。マンガン(II)の存在下でDNA損傷が認められ、カタラーゼ阻害剤で増強した。その結果、カフェー酸、ヒドラジン類、トリプトファン代謝物はこれまで検討してきたベンゼンやオルトフェニルフェノールやペンタクロロフェノールの代謝物などのAmesテスト陰性の発がん物質と同様に銅(II)またはマンガン(II)によって過酸化水素(H_2O_2)を生成し、このH_2O_2が遷移金属により活性化されDNA損傷をもたらすことが判明した。このようにAmesテスト陰性の発がん物質にはH_2O_2を介してDNA損傷をもたらす場合が多いことが推定される。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] K・Ito: "Manganese-Mediated Oxidative Damage of Cellular and Isolated DNA by Isoniazid and Related Hydrazines:Non-Fenton-Type Hydroxyl Radical Formation." Biochemistry. 31. 11606-11613 (1992)
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[Publications] K・Yamamoto: "Concerted DNA Recognition and Novel Site-specific Alkylation by Puocarmycin A with Distamycin A." Biochemistry. 32. 1059-1066 (1993)
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[Publications] K・Yamamoto: "Site-specific DNA Damage and 8-Hydroxydeoxyguanosine Formation by Hydroxylamine and 4-Hydroxyaminoquinoline 1-oxide in the presence of Cu(II):Role of Active Oxygen Species" Carcinogenesis. 14. 1397-1401 (1993)
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[Publications] K・Ito: "8-Hydroxydeoxyguanosine Formation at the 5'Site of 5'-GG-3'Sequences in Double-stranded DNA by UV Radiation with Riboflavin." J.Biol.Chem.286. 13221-13227 (1993)
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[Publications] 井上純子: "重金属とフリーラジカル" 活性酸素・フリーラジカル. 4. 408-415 (1993)
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[Publications] 川西正祐: "金属化合物の発がん性" 労働の科学. 48. 660-664 (1993)
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[Publications] 川西正祐: "環境と健康" HBJ出版局(志賀健・池永満生・森本兼曩編), 33-48 (1993)
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[Publications] S.Kawanishi: "Handbook of Experimental Pharmacology“Toxicology of Metals-Biochemical Aspects"" Springer(R.A.Goyer and M.G.Cherian eds), (1994)