1992 Fiscal Year Annual Research Report
重金属,特に鉛の健康影響に対する新しい評価指標の検討
Project/Area Number |
04454218
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Research Institution | 佐賀医科大学 |
Principal Investigator |
友国 勝麿 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40032891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市場 正良 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (60184628)
平井 幸雄 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (90156638)
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Keywords | 鉛暴露 / 血中鉛 / チミン代謝 / β-アミノイソ酪酸 / 尿中排泄 / 評価指標 |
Research Abstract |
尿中に排泄されるβ-アミノイソ酪酸(A1BA)は,DNAの構成々分であるチミンの最終代謝物として知られているが,本研究では,尿中A1BA排泄量と鉛暴露量との関係を明らかにし,尿中A1BAの測定が鉛の健康影響に対する新しい評価指標になり得るか否かを検討した。 対象者には故鉛再生業に従事している比較的鉛暴露の高い作業者22名を選び,これらの作業者から生体試料(尿,血液)を収集した。尿中A1BAの測定は,本研究において我々が開発した蛍光HPLC法を用いて行った。また鉛暴露の程度を表す指標として有用な血中鉛はフレームレス原子吸光分析法により定量した。両測定値を用いて統計的解析を行ったところ,尿中A1BA排泄量と血中鉛量との間には有意な正の相関々係が得られた。この成績は,体内鉛がチミンの代謝に何らかの影響を及ぼしている可能性を示唆するもので興味深い。今回得られた尿中A1BAと血中鉛とのDose-response関係は,少数の鉛作業者からのものであるため,やや説得力に欠ける面もあるが,今後例数を増やしていくことにより,信頼性の高いデータが得られるものと期待される。 これまで鉛の健康影響はポルフィリン代謝異常,とりわけ尿中α-アミノレブリン酸(ALA)の排泄増加の程度を調べることにより,より有効な評価が出来ると考えられてきた。今回得られた尿中A1BAと血中鉛との相関係数は,尿中ALAと血中鉛との相関係数と同程度であったことから,尿中A1BAの排泄動態により,これまでとは違った視点からの鉛暴露(影響)評価が出来るのではないかと思われる。
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Research Products
(1 results)