1992 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎のT細胞レセプターとサイトカイン産生細胞の免疫組織学、遺伝子学的解析
Project/Area Number |
04454242
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
朝倉 均 新潟大学, 医学部, 教授 (20051451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
姉崎 一弥 新潟大学, 医学部, 医員
船越 和博 新潟大学, 医学部, 医員
杉村 一仁 新潟大学, 医学部, 研究生
成澤 林太郎 新潟大学, 医学部, 助手 (30180540)
野本 実 新潟大学, 医学部, 助手 (20172827)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / サイトカイン / Vβレパトア / RT-PCR |
Research Abstract |
[対象、方法]潰瘍性大腸炎活動期9名(39.5yo±14.5)、寛解期9名(33.5yo±13.2)、および健常対照9名(57.3yo±7.56)の直腸及びS状結腸粘膜の生検標本よりAGPC法によりtotal RNAを抽出した。IL-1β,IL-2,IL-2R,IL-4,CD3δとT細胞の各Vβreceptor(Vβ1-20)特異的なprimer及びoligomer probeを新たに作成し、前述のtotal RNAをreverse transcriptation-polymerase chain reaction法を用い増幅した。合成DNAは電気泳動により合成長を確認した後さらにoligomer probeによるSouthern hybridezationを施行し目的物であることを確認した。その後alkali dot blottingを同条件で行い各々のdotの放射活性を液体シンチレーションカウンターで検出し合成量を計測した。各サイトカインの発現量はCD3δ発現量によって補正し、T細胞Vβreceptorの発現量は総放射活性によって補正することにより、何れも相対的発現量(%)で表わした。 [結果]前述の方法で、各primer set間で鋳型RNA濃度と増幅DNA放射活性との間にはlog-logスケールにて実験濃度領域の直線関係が得られた。大腸粘膜局所におけるIL-1β遺伝子の発現は活動期で高く(m 3841cpm,103.9%)、寛解期(m 1886cpm,55.3%)対照(m 1996cpm,61.0%)では低い傾向にあった。またIL-4,IL-2Rに於てもその発現量は少ないものの同様の傾向を認めた。(IL-4;m 121cpm 2.6% vs,m 57cpm 1.7% vs,m 73cpm 1.6%)(IL-2R;m 554cpm 12.1% vs,m 144cpm 3.2% vs,m 247cpm 5.7%)。一方IL-2遺伝子の発現は何れの症例に於いてもほぼ認められなかった。T細胞Vβレパトアの解析では活動期粘膜内と健常粘膜内を比較したところ活動期に於いてVβ8発現量の低下傾向を認めたものの患者末血リンパ球においてもその発現量は低く明かなVβ遺伝子発現の片よりは認められなかった。 [結語]潰瘍性大腸炎粘膜局所においてそのサイトカインはTh1様のT細胞を抑制する方向を示しており、また特異的なVβT細胞の活性化も認められなかった。
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