1993 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-I関連肺疾患におけるtax/rex mRNAの発現機構とその病態
Project/Area Number |
04454252
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
原 耕平 長崎大学, 医学部, 教授 (80039495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
賀来 満夫 長崎大学, 医学部, 講師 (40224357)
古賀 宏延 長崎大学, 医学部, 講師 (50225398)
河野 茂 長崎大学, 医学部, 講師 (80136647)
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Keywords | HTLV-I / tax / rex mRNA / 呼吸器疾患 / 肺胞マクロファージ |
Research Abstract |
平成4年度は、HTLV-I感染と呼吸器疾患との関係を明らかにするためにHTLV-Iのprovirusの量とHTLV-Iの各種m RNA(gag/pol,env,tax/rex)の発現を、抗体陽性者34例(HTLV-I associated myelopathy(HAM)6名,adult T-cell leukemia(ATL)4名,呼吸器疾患を伴うcarrier 24例)の末梢血単核球および肺胞洗浄液細胞を検体として検討した。方法としては、それぞれ半定量的PCRおよび半定量的RT-PCRをおこなった。この検討で、肺ではHTLV-I tax/rex mRNAの発現が肺での免疫学的な異常(リンパ球比率の増加や活性化IL-2R陽性細胞の増加)と強く関連していることが示唆された。しかし、同時にenv mRNAやgag/pol mRNAの発現がRT-PCRで検出できなかった事から、ウイルスの複製が肺局所で起こり、その結果として免疫学的な異常を来しているとは考えにくく、provirusの量がtax/rex mRNAの発現の有無により有意差がないことからも、ウイルス複製による免疫学的異常であることは否定的であった。平成5年度は、tax/rex mRNAの発現が直接ウイルス複製に結び付かない一つの仮設として、ウイルスのtropismの違いを考えて、in situ hybridizationをおこなった。新鮮な検体ではウイルスmRNAの発現量が少ないため、気管支肺胞洗浄細胞を3時間RPMI1640 10%FCS内で培養し、ジゴキシゲニン標識RNA probeで検出した。陽性に染まった細胞には病理学的に肺胞マクロファージも含まれており、肺でのtax/rex mRNAの発現が直接ウイルス複製に結び付かない理由の一つとして、肺胞マクロファージにHTLV-Iが感染した結果である可能性が示唆された。
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