1994 Fiscal Year Annual Research Report
ノルウオ-クウイルス胃腸炎に関するウイルス学的および疫学的研究
Project/Area Number |
04454278
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Research Institution | Sapporo Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
千葉 峻三 札幌医科大学, 医学部・小児科, 教授 (50045374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 憲昭 札幌医科大学, 医学部・小児科, 助手
中田 修二 札幌医科大学, 医学部・小児科, 講師 (70155745)
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Keywords | ノルウオ-クウイルス / 食中毒様急性胃腸炎 / ELISA法 / Dot Blot Hybridization法 / RT-PCR法 |
Research Abstract |
ノルウオ-クウイルス(NV)は主に成人に食中毒様の急性胃腸炎を引き起こす主要起因ウイルスである。近年米国においてNVのgene cloningが成功し、様々な研究法が開発された。本研究では、ELISA法、PT-PCR法、Dot Blot Hybridization法を用いて、1987年4月から1991年5月までに発生した、学童期から成人にみられた急性胃腸炎の集団発生18事例に対するNVの関与について検討した。 愛知県下で発生した急性胃腸炎の集団発生18事例から得られた158検体を対象にELISA法で検討すると、3事例32検体からの7検体がNV陽性であった。この結果3事例がNVによる集団発生の可能性があるが、1事例(5/(14);35.7%)を除くとその陽性数が1/7;14.3%、1/(11);9.1%と少なかった。そこで、3事例32検体についてRT-PCR法で検査したところ、それぞれ(13)/(14)、7/7、7/(11)、全体では(27)/(32);84.4%と高率にNVが検出された。これに対してRNAprobeを用いたDot Blot Hybridization法では(10)/(14);71.4%が陽性で、やはりELISA法に比べて高率にNVを検出することが出来た。この結果は、今回用いたBaculovirusに発現させたNV capsid proteinを使ったELISA系は、prototypeのNVに対して特異性が非常に高い反面感度が低いことを示唆する。また、RNA polymeraseの部位を増幅するRT-PCR法とRNA polymerase部位のRNA probeを用いたDot法は、RNAウイルスの保存された領域を検出している可能性があり、感度が高まったと考えられる。以上、3事例はNVによる急性胃腸炎といえるが、ELISA法のみで検索し陰性と判定された15事例をより感度の高いRT-PCR法で検討し直す必要がある。NVのprototypeとは異なるNV関連ウイルスを検出するためには、感度の高いRT-PCR法やDot法が適当と思われるが、塩基配列の解析を考慮すると前者が最適と思われる。
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Research Products
(1 results)