1994 Fiscal Year Annual Research Report
後発射反復による獲得性脳けいれん準備性の長期持続性とその神経機序
Project/Area Number |
04454301
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 光源 東北大学, 医学部, 教授 (70033321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼知 陽太郎 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (00261636)
猪坂 孝雄 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (60241618)
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Keywords | てんかん / キンドリング / 苔状線維 / 神経発芽 / 細胞脱落 / けいれん性脳損傷 / 海馬 |
Research Abstract |
後発射反復による脳けいれん準備性の長期持続性の増強現象の神経機構を明らかに引き続きキンドリングモデル動物を用いた研究を進めた。初年度はてんかん発作のうち、二次全般発作を反復することが難治化に関係することを示し、海馬のTimm染色法により歯状回多形細胞層で苔状線維に神経発芽がみられることを示した。ついで、昨年までに神経発芽が後発射を3回以内起こした対照群にもみられること、キンドリング完成後にも全身けいれん発作の反復で神経発芽が増強することを示し、神経発芽がキンドリング現象の形成に直接関与しないこと、通電による非特異的な変化の可能性があること、細胞脱落が神経発芽に先行して起こることの3点を見いだした。これは、神経発芽が機能していて、キンドリング現象の神経基盤となるとする従来の仮説を否定するものであり、細胞脱落による二次的な組織変化であるという見解を可能にした。 今年度は、さらに無後発射通電群を対照群として通電のみで神経発芽が起きるか、後発射反復刺激群で神経細胞脱落と神経発芽の発現時期を明確にした。35回の通電のみでは神経発芽は起こらないこと、後発射を生じる刺激の9回刺激群(N=7)でも神経発芽は起こらず、27回刺激群(N=8)では明らかな神経発芽と細胞脱落を生じた。18回刺激群(N=8)について、検索中である。 キンドリング現象の成立には神経脱落も神経発芽も本質的に関与しないことが確認され、それらの組織変化は全身けいれんの反復によるけいれん性損傷による可能性が高いことが明らかになった。
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[Publications] 大沢真理子・他: "獲得けいれん準備性の長期持続性と海馬の組織学的変化" てんかん研究. 13 (印刷中). (1995)
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[Publications] Sato M.他: "Temporal lobe epilepsy" Japn J Psychiattry Neurology. 48. 203-204 (1994)
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[Publications] 佐藤 光源: "てんかん患者と精神医学" International Epilepsy News. 116. 16-17 (1994)
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[Publications] 佐藤 光源: "てんかんの最新外科学治療" 医学書院, 288 (1994)
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[Publications] 佐藤 光源: "てんかん研究の最前線" ライフ サイエンス, 167 (1994)