1994 Fiscal Year Annual Research Report
各種胃切除術の胆汁組成におよぼす影響、特に胆石症の発生を中心に
Project/Area Number |
04454324
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉山 譲 弘前大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40113807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽田 隆吉 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (50125457)
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Keywords | 胃(癌)切除後胆石症 / 胃切除術式 / 胆汁組成 / 胃再建術式 / 胆汁酸 / 胆汁感染 / 外胆嚢瘻 / 予防的胆嚢摘出術 |
Research Abstract |
臨床的には昭和61年末より行ってきた第2群以上のリンパ節郭清胃癌治癒切除例に対する予防的胆嚢摘出術(予防胆摘)により、胃癌切除後胆石症の発生数は激減した。しかし、術後の観察期間が短いため断定できないが、現段階では発生率は減少せず、予防胆摘の適応を厳格にしないと本症の発生を押さえられないと思われた^<1)>。一方、早期胃癌に対する縮小手術、なかんずく幽門保存胃切除術(PPG)兼迷走神経肝枝温存例では本症の発生はなく、術直後の胆嚢機能も正常で、本症に対する予防策としてきわめて有用と考えられた^<2)>。また、胃癌切除前後の胆嚢胆汁組成の分析では、術前採取の対照群に比べ本症手術時に採取した結石群は遊離型胆汁酸の検出、胆汁脂質の減少傾向などが認められ、特にビリルビンカルシウム石と胆汁感染との関係が示唆された^<3)>。実験的には外胆嚢瘻(-)群のPPG群5頭では、胆汁採取のみの対照群と同様に胆汁感染や胆石の発生はなく、遊離型胆汁酸はPPG群の2頭にのみ検出された。このことよりPPG群は胆汁感染を起こしにくく、ひいては胆石を発生しにくい術式と考えられ、臨床例の成績を支持する結果であった^<4)>。1)杉山譲,ほか:長期経過観察例よりみた予防的胆嚢摘出術の効果.胆と膵,15:771-775,1994.2)鈴木英登士,ほか:迷走神経肝枝、幽門枝ならびに幽門括約筋温存胃切除後の胆嚢機能.胆膵の生理機能,10:64-66,1994.3)杉山譲,ほか:胃癌切除前後の胆嚢胆汁組成の変化.日消外会誌,27:1765-1770.1994.4)杉山譲,ほか:胃癌切除後胆石症の実験的研究-胃切除後のイヌ胆嚢胆汁組成の経時的変化-.日消外会誌掲載予定.
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[Publications] 鈴木 英登士: "迷走神経肝枝、幽門枝ならびに幽門括約筋温存胃切除後の胆嚢機能" 胆膵の生理機能. 10. 64-66 (1994)
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[Publications] 鈴木 英登士: "上部胃癌に対する機能温存手術の適応" 日臨外医会誌. 55. 848-852 (1994)
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[Publications] Hada Ryukichi: "Altered composition of gallbladder bile and bile infection in the genesis of postgastrectomy gallstone" Gastroenterology. 106. A340- (1994)
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[Publications] 杉山 譲: "胃癌切除前後の胆嚢胆汁組成の変化" 日消外会誌. 27. 1765-1770 (1994)
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[Publications] 杉山 譲: "長期経過観察例よりみた予防的胆嚢摘出術の効果" 胆と膵. 15. 771-775 (1994)
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[Publications] 杉山 譲: "胃癌切除後胆石症の実験的研究-イヌ胆嚢胆汁組成の経時的変化-" 日消外会誌掲載予定.