1994 Fiscal Year Annual Research Report
手術侵襲の生体防御機構への影響と術後感染-サイトカイン・ネットワークを中心に-
Project/Area Number |
04454335
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
下田 勝広 大分医科大学, 医学部, 助手 (90211292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 忠彦 大分医科大学, 医学部, 助手 (70253804)
宮原 正樹 大分医科大学, 医学部, 講師 (10183641)
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Keywords | IL-8 / エラスターゼ / 肺胞洗浄液 |
Research Abstract |
手術侵襲によるサイトカイン・ネットワークの過剰反応と術後肺臓器障害の関連について、特に、食道癌手術患者を対象に肺胞洗浄液を用い、肺胞内でのIL-8産生と好中級活性化への影響と術後肺臓器傷害との関連を調べてきた。 現在までの対象は、食道癌右開胸手術症例19例であり、測定項目は、肺胞洗浄液中IL-8値、エラスターゼ値、細胞成分好中球数(比率)、活性酵素産生能、肺臓器傷害の指標としてAaDO_2である。 <結果> 肺胞洗浄液中IL-8値の変動が2,000pg/ml以上に達する高値群と2,000pg/ml以内で推移する低値群に分け検討した。 (1)高値群では低値群に比し、肺胞洗浄液中エラスターゼ値が術後5日目において有意に高値であった。 (2)高値群では低値群に比し、肺胞洗浄液中好中球数が有意に多かった。 (3)高値群では低値群に比し、肺胞洗浄液中細胞成分の活性酸素産生能が高い傾向にあった。 (4)肺臓器傷害の指標としたAaDO_2は、高値群で低値群に比し有意に開大していた。 以上により、食道癌の手術侵襲により肺胞でのIL-8産生が、好中球遊走を引き起こし、これによるエラスターゼ、活性酸素の産生亢進による肺臓器傷害を引き起こすことが示唆された。
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