1992 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再潅流障害の発生機序の解明、特に潅流白血球及び血管内皮細胞の関与について
Project/Area Number |
04454342
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
草川 實 三重大学, 医学部, 教授 (10046336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 秀人 三重大学, 医学部附属病院, 助手 (70179076)
矢田 公 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (80093152)
|
Keywords | 虚血再潅流障害 / 血管内皮細胞 / 血管内皮由来弛緩因子(EDRF) / 活性化白血球 / Ca^<++>influx / カルモデュリン阻害薬 / 細胞内カルシウム伝達系 |
Research Abstract |
血管内皮細胞は物理的障壁として、また組織障害因子に対する拮抗物質や血管張力制御物質の代謝を活発に行なう役割を担っており、虚血再潅流障害の一因であるno reflow phenomenの主役を演じていると考えられる。そこで虚血再潅流にさらされた血管内皮細胞と内皮細胞の障害因子のひとつである白血球との関連について検討を加えた。 分離血管内皮細胞を虚血後再潅流するモデルを用いて以下の結果を得た。20分間の虚血のみ、或いは活性化されていない白血球添加の場合では、血管内皮のEDRF放出能の低下もEndothelin産生の増加も認められなかった。しかし、PMAにて活性化された白血球を添加した場合には、血管内皮のEDRF放出能の低下が著明に認められ、同時にEndothelin産生の増加も認められた。Endothelin産生は虚血再潅流直後〜1分間において急激に産生され、以後は著減していくパターンをとった。 以上の結果を踏まえて、白血球機能を制御している細胞内情報伝達系、特にカルシウムシグナル伝達系の阻害効果を、上記モデルを用いて検討した。現在、臨床で広く利用されているカルシウム拮抗薬であるニカルジピンと、作用部位の異なるカルシウム拮抗薬であるルテニウムレッドの虚血再潅流障害の防御効果をみた。前者は細胞膜に作用して、細胞外から細胞内へのカルシウム流入を阻害するのに対して、後者はその結果に加えてカルモデュリン阻害効果によって、細胞内でのカルシウムがカルモデュリンに結合するのを抑える効果を持っている。ルテニウムレッドにて血管内皮細胞を前処置した場には、PMAにて活性化された白血球を添加した場合にも血管内皮細胞の機能は保たれ、1μM/lの低濃度でもその効果が得られた。ニカルジピンについては現在検討中である。虚商再潅流障害の主因は血管内皮細胞と活性化白血球の反応にあり、Ca^<++>influxや細胞内でのCa^<++>の変動が血管収縮を惹起しno reflow phenomenを起す機序が明らかにされた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Koji Onoda: "Pharmacological protection of the heart during 24 hours stage:Basic study using rat ventricular myocytes" Mie Medical Journal. 40. 185-190 (1991)
-
[Publications] Koji Onoda: "The enhancement of myocardial protection through an acalcanic strage solution containing Nicardipine.A potent calcium channel blocker:A basic study using rat myocytes" Transplantation. 51. 1084-1088 (1991)
-
[Publications] Toru Mizumoto: "Evaluating the viability of cold straged heart with ^<31>P-MRS" MIe Medical Journal. 42. 77-87 (1992)
-
[Publications] 和田 潔人: "Reperfusion injuryにおける血管内皮細胞の役割 血管内皮由来弛緩因子放出能などからみた検討" 三重医学. 36. 121-128 (1992)
-
[Publications] 和田 潔人: "Reperfusion injuryにおける血管内皮細胞の障害と白血球の関与について" 日本血管外科学会雑誌. 1. 15-21 (1992)