1993 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再潅流障害の発生機序の解明、特に潅流白血球及び血管内皮細胞の関与について
Project/Area Number |
04454342
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
矢田 公 三重大学, 医学部, 教授 (80093152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 秀人 三重大学, 医学部・附属病院, 助手 (70179076)
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Keywords | 虚血再潅流障害 / 血管内皮細胞 / 血管内皮由来弛緩因子(EDGF) / 活性化白血球 / Ca^<++> influx / カルモデュリン阻害薬 |
Research Abstract |
血管内皮細胞は、EDRFやendothelin(ET)等を産生放出して血管張力制御を行っている。本研究では虚血再潅流に曝された血管内皮細胞と内皮細胞の障害因子の一つである白血球に注目し、虚血再潅流前後のEDRFとET産生の変化、及び各種Ca^<++>拮抗剤による内皮細胞保護効果について検討を行った。 培養血管内皮細胞と、その反応系である血管平滑筋とを完全に分離したモデルを用いて、内皮細胞のみに虚血再潅流負荷を加えて検討を行った。虚血中にPMAにて活性化された白血球を混和した場合には、血管内皮細胞のEDRF産生低下とEndothelin-1産生増加を認めたが、活性化された白血球をフィルターで除去して内皮細胞との接触を絶った場合には、EDRF産生低下もEndothelin-1産生増加も認められなかった。又、EDRFによる平滑筋の弛緩反応は低濃度のNOガスを短時間潅流液に混和する事によっても再現できる上に、NO合成阻害剤によってその反応を抑制できるので、血管内皮細胞より産生されるEDRFはNOまたはNO類似物質である事が確認できた。 また、各種Ca^<++>拮抗薬による内皮細胞保護効果の比較では、細胞内Ca^<++>拮抗薬であるTMB8とルテニウムレッドは1μM/l以上で効果を発現し、10μM/lで最大効果を得られたのに対し、膜レベルでのCa^<++>拮抗薬であるニカルジピンは100μM/lの高濃度においても、再潅流障害を予防できなかった。以上の結果より虚血再潅流障害の発生には、刺激白血球が内皮細胞に接着する事が必要で、それによって内皮細胞のEDRF産生能の低下とET産生の増加が引き起こされ、それを予防するには細胞内Ca^<++>の増加を防ぐ事が重要であると考えられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Koji Onoda: "Pharmacological protection of the heart during 24 hours stage:Basic study using rat ventricular myocytes" Mie Medical Journal. 40. 185-190 (1990)
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[Publications] Koji Onoda: "The enhancement of myocardial protection through an acalcanic strage solution containing Nicardipine. A potent calcium channel blocker:A basic study using rat myocytes" Transplantation. 51. 1084-1088 (1991)
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[Publications] Toru Mizumoto: "Evaluating the viability of cold straged heart with ^<31> P-MRS" Mie Medical Journal. 42. 77-87 (1992)
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[Publications] 和田潔人: "Reperfusion injuryにおける血管内皮細胞の役割血管内皮由来弛緩因子放出能などからみた検討" 三重医学. 36. 121-128 (1992)
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[Publications] 和田潔人: "Reperfusion injuryにおける血管内皮細胞の障害と白血球の関与について" 日本心臓血管外科学会雑誌. 1. 15-21 (1992)
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[Publications] 鈴木仁之: "虚血再潅流障害における血管内皮細胞の役割-そのメカニズムと予防についての検討-" 三重医学. 38(掲載予定). (1994)