1993 Fiscal Year Annual Research Report
MRI時代におけるてんかん外科確立のための臨床的ならびに実験的研究
Project/Area Number |
04454361
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
森竹 浩三 島根医科大学, 医学部, 教授 (90093327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正利 島根医科大学, 医学部, 助教授 (90135567)
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Keywords | 難治性てんかん / MRI / 切除外科 / てんかん原性 / モデル実験 / 脳波 / 術中モニタ |
Research Abstract |
難治性てんかん患者では、CT検査では発見し難い病変がMRIでは比較的容易に検出され、その多くはT2強調像で高信号域として描出された。これらの症例では通常の頭皮脳波のほか、蝶形骨誘導脳波記録、長時間脳波連続モニタなど非侵襲的方法を組み合わせることにより電気生理学的にてんかん焦点を決定できた。術前の発作間欠期のSPECTでは、MRIで描出された部位に一致し低潅流域を認めた。脳波を含めた機能面からの検索結果がMRIと一致した例では開頭を行った。術中、病変部の脳組識は正常脳と比べ硬く、異常な外観を呈した。皮質脳波、深部脳波、レーザドプラ法による局所脳血流計測、超音波断層でも術前の検査所見に一致する結果を得た。これらの症例に焦点切除術を行った。術後約60%の患者で発作の消失を、約30%で明らかな改善を得ており、従来の頭蓋内電極法など侵襲的術前検索法を用いた方法と比べても手術成績は劣らなかった。発作改善例では、術前見られた攻撃性など精神神経学的な面での改善がみられQOLは明らかに上昇している。このような知能も含めた精神神経学的な改善効果は早期手術例で顕著であった。上記切除脳標本を神経病理学的に観察し、組識は共通点を有し、大部分がグリオーシス、過誤腫に属するものであった。切除術で摘出した病巣部およびその周辺の脳組織標本を対象にインフォームド・コンセント得たのちに細胞内電位を培養液へのGABA、その他の薬剤投与下に測定した。切除焦点細胞の電気生理学的ならびに薬理学的検索を行った2例では、焦点細胞の自発発火はなく、記録細胞近傍の刺激により、脱分極シフトを伴う頻回発射がみられた。ラットと猫の側頭葉内側部にカイニン酸を注入し作成した慢性てんかんモデル動物では覚醒状態でその行動のビデオモニタによる観察し、同時に行った頭蓋内電極による連続脳波記録の結果と対比し、てんかん発作であることが確かめられた。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 太田文人: "瘢痕切除により発作消失を得た外傷性てんかんの1例" 島根医学. 13. 133 (1993)
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[Publications] 森竹浩三: "MRI時代におけるてんかん外科確立のための臨床的ならびに実験的研究" Innervision. 8. 61-62 (1993)
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[Publications] 森竹浩三: "てんかん外科 これから" 信州医学雑誌. 41. 374 (1993)
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[Publications] 山崎俊樹: "アンギオテンシン変換酵素阻害剤の培養株化神経細胞における膜電位と興奮性インパルスに及ぼす影響" 脳神経. 45. 1039-1044 (1993)
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[Publications] 小林綾女: "脳梁切截術が有効であった難治性てんかんの1例" 島根医学. 13. 356 (1993)
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[Publications] Kishi K: "GABA-gated chloride ion influx in brains of tremor rats" Neurochemical Research. 18. 977-982 (1993)
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[Publications] Shiraishi H: "High dose of penicillin dereases [^3H] FNZ binding site in rat neuson primary culture" Brain & Development. 15. 356-361 (1993)
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[Publications] Mitsuyoshi I: "Changes of HMDA receptor binding in spontaneously epileptic rat and its parent strains" Neurochemical Research. 18. 1169-1173 (1993)
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[Publications] Tsuda A: "Effect of penicillin on GABA-gated chloide ion influx" Neurochemical Research. 19. 1-4 (1994)
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[Publications] 太田順子: "切除術が有効であった複雑部分発作の一例" 島根医学. (印刷中).
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[Publications] 森竹浩三: "てんかんの最新外科手術" 医学書院, 10 (1994)
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[Publications] 森竹浩三: "てんかんの最新外科手術" 医学書院, 5 (1994)
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[Publications] 森竹浩三: "てんかんの最新外科手術" 医学書院, 7 (1994)
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[Publications] 森竹浩三: "てんかんの最新外科手術" 医学書院, 6 (1994)