1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454366
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
永松 信哉 杏林大学, 医学部, 助教授 (80231489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐和 弘基 杏林大学, 医学部, 助手 (80135912)
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Keywords | 能腫瘍 / 糖輸送担体 / PCR / Northern解析 / cDNAクローニング |
Research Abstract |
腫瘍細胞、特に脳腫瘍細胞の増殖能と糖代謝との間には、PET等の結果からも明らかなように、密接な関連性がある。細胞における糖代謝の第一段階は、細胞膜を介した促通拡散型の糖輸送であり、これはglucose transpoter(GLUT)と呼ばれる5種類の遺伝子ファミリーからなる膜蛋白を介して行われていることが明らかになっている。前年度の研究において私達は、ヒトの脳腫瘍組織に発現しているGLUTの解析を行ったところ、1)astrocytic tumor全ての細胞においてGLUT3が発現しているが発現量と悪性度との間には密接な関連が見いだせなかった。2)GLUT1は、腫瘍組織周辺の脳血管関門には発現していたが、腫瘍組織内での発現率は低かった。本年度の研究においては、増殖能の異なるラットC6グリオーマ細胞亜株を樹立し、グリオーマ細胞の増殖能と糖代謝の関連性について検討した。ラットC6グリオーマ細胞亜株は、形態学的にはCL1;星状膠細胞類似、CL2;線維芽細胞株、CL3;上皮様増殖を示す細胞、CL4;小型紡錘型細胞であった。その増殖能は成長曲線よりCL4>CL3=CL2>CL1であった。Northern解析、及びRT-PCR法を用いた検討では、C6グリオーマに発現しているGLUTのisoformはGLUT1であり、その発現量はmRNA、蛋白質共に、CL4>CL3>CL2>CL1の順であった。又、^<14>C-2-deoxyglucoseのuptakeを指標とした、糖輸送活性も、増殖能の順に増加していた。現在、細胞内のATP量、グルコース量、Hexokinase活性についても検討を加えているところであるが、C6グリオーマ細胞を用いたモデル系では、細胞の増殖能とGLUT発現との間で密接な関連があることが示された。
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[Publications] Nagamatsu S.,Sawa H.,et al.: "Expression of facilitative glucose transpoter isoforms in human brain tumors." J.Neurochem.61. 2048-2053 (1993)
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[Publications] Nagamatsu S.,Sawa H.,et,al.: "Neuron-specific glucose transporter(NSGT):CNS distribution of GLUT3 rat glucose transporter (RGT3)in rat central neruons." FEBS LETT. 334. 289-295 (1993)
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[Publications] 永松信哉、中道洋子、佐和弘基: "脳タイプのグルコーストランスポーター" 生体の科学. 45. 32-37 (1994)
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[Publications] 武島英人、永松信哉 et al.: "STZ糖尿病マウスにおける心筋及び骨格筋の糖輸送担体遺伝子の発現の検討" 日本臨床代謝病学会記録. 29. 44-45 (1993)
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[Publications] Herold KC.,Nagamatsu S.et al.: "Inhibition of glucose-stimulated insul in release from betaTC3 cells and rodent islets by an analog of FK506" Transplantation. 55. 186-192 (1993)
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[Publications] Nagamatsu S.: "Lack of effects of glucose on IAPP biosynthesisin mouse betaTC3 cells" Hormone and Metabolic Research. 26. 49-50 (1994)
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[Publications] Chan SJ.,Nagamatsu S.et al.: "Biochemistry and Molecular biology of fishes" Elsevier Science Publishers, 11 (1993)