1993 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫の転移形成におけるEGF、とくに細胞外マトリックス代謝への修飾と転移抑制
Project/Area Number |
04454373
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University, Faculty of Medicine |
Principal Investigator |
松井 寿夫 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (20173784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 昌彦 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (20204547)
辻 陽雄 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (90009449)
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Keywords | 転移 / マウス未分化肉腫 / 細胞外マトリックス / 上皮増殖因子 / 腫瘍マーカー / ラミニン / IV型コラーゲン |
Research Abstract |
転移抑制因子の細胞生物学的解析の重要性にかんがみ、当教室で分離樹立したマウス未分化肉腫高肺転移株および低肺転移株を用いて、転移能を規制する要因として細胞外マトリックス浸潤能を検討しており、昨年度本研究から、腫瘍細胞の細胞外マトリックス分解能を誘導する因子として、細胞外マトリックス成分への細胞接着や血清中の上皮増殖因子の関与を明らかにした。本年度研究において、マウス未分化肉腫の自然肺転移モデルを用いて、肺転移の経時的変化と細胞外マトリックス構成成分のラミニン、IV型コラーゲンの血中濃度との関連を調べたところ、肺転移結節数とマトリックス成分の血中濃度との間には高い相関性がみられ、転移結節数の増加加に伴い、血中濃度が上昇することが明らかとなった。これは、細胞外マトリックスが腫瘍細胞のマトリックス浸潤過程で分解され、構成成分が血中に逸脱するためと考えられる。このことから、細胞外マトリックス構成成分のラミニン、IV型コラーゲンの血中濃度は転移のマーカーとして有用であり、予後診断や治療効果判定の指標として臨床的な価値を有することが示唆された。さらに、昨年度本研究から得られた知見をもとに、細胞外マトリックス浸潤を規制する因子として浸潤能の増強作用を持つ上皮増殖因子に着目し、マウス自然肺転移モデルの肺転移形成に対して、上皮増殖因子レセプターをターゲットとした抗上皮増殖因子レセプターモノクローナル抗体による転移抑制実験を行った。その結果、腫瘍細胞膜上に高率に上皮増殖因子レセプターを発現するマウス未分化肉腫高肺転移株移植群において、抗体投与により肺転移は抑制されることを確認した。これらのことから、腫瘍細胞に発現する上皮増殖因子は、細胞外マトリックス浸潤の調節因子として転移能を規制し、上皮増殖因子レセプターの発現度が悪性腫瘍の予後の関連するばかりでなく、治療のターゲットとしても有用であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yudoh,K.,Matsui,H.,Kanamori,M.et al.: "Effects of epidermal growth factor on invasiveness through the extracellular matrix in high- and low-metastatic clones of RCT sarcoma in vitro." Jpn.J.Cancer Res.85. 63-71 (1994)
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[Publications] Yudoh,K.,Matsui,H.,Kanamori,M.et al.: "Inhibitory Effect of Monoclonal Antibody to Epidermal growth Factor Receptor on Tumor Growth and Metastasis in high- and Low-metastatic Clones of Murine RCT Sarcoma." J.Exp.Clin.Cancer Res.,. (in press).