1992 Fiscal Year Annual Research Report
難病・後縦靭帯骨化症の成因解明を目的とした巨大DNA分子解析装置によるDNA分析
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04454378
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
酒匂 崇 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 俊二 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90229500)
武富 栄二 鹿児島大学, 医学部, 講師 (60179653)
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Keywords | 後縦靭帯骨化症 / HLAタイピング / 遺伝解析 / HLAハプロタイプ / HLA遺伝子 / 遺伝的多型 |
Research Abstract |
後縦靭帯骨化症の遺伝的背景を明らかにするため,本症患者家系のリンパ球及び保存を行った。 鹿児島大学附属病院整形外科にて後縦靭帯骨化症の手術を受けた患者家系10家系40名の協力を得,頸椎X線写真撮影ならびに末梢血採血を行い全員のリンパ球を分離し液体窒素中に保存した。 これらの全員につきHLAタイピングを行いHLAハプロタイプによる遺伝解析を行った。その結果患者では日本人一般集団で出現頻度の低いHLAハプロタイプが多く出現し,この中には異なる患者の間で共通するHLAハプロタイプも認めた。 発端者と同胞の間でHLAハプロタイプの分布とX線写真所見を比較検討すると,発端者と同一のHLAハプロタイプを2本とも共有する同胞では,約60%と高率にX線写真上,後縦靭帯骨化が存在したが,1本のみ共有する同胞,1本も共有しない同胞では低率であった。これらの分布はHardy-Weinbergの法則より得られる期待値と比較すると有意差を認めた。 これらの結果より後縦靭帯骨化症にはHLAハプロタイプと連鎖する遺伝的因子が存在する可能性が考えられた。HLA遺伝子はその遺伝的多型に富むため,第6染色体の遺伝マーカーとして遺伝解析に用いられる。また免疫に関する主要組織抗原であることから,多くの疾患との感受性を決定していることが最近報告されており興味深い。 今後さらに地理的に離れた他の地域の患者も含めて症例数を増やし詳細な解析をする必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 古賀 公明: "OPLL患者における遺伝的多型の解析ーMHCプローブによるRFLPとの相関ー" 日本整形科学会雑誌. 66. 1160- (1992)
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[Publications] 古賀 公明: "OPLL患者における遺伝的多型の解析ーMHCプローブによるRFLPとの相関ー" 厚生特定疾患 脊柱靭帯骨化症調査研究班 平成3年度研究報告書. 24-28 (1992)
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[Publications] 林 協司: "頸椎後縦靭帯骨化症の遺伝的背景に関するHLAハプロタイプによる解析ー全国患者家系調査ー" 日本整形外科学会雑誌. 66. 1159- (1992)
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[Publications] 古賀 公明: "MHCプローブによるRFLPとの相関ー第2報ー" 厚生省特定疾患 脊柱靭帯骨化症調査研究班 平成4年度第2回班総会にて発表.