呼吸不全時の吸気努力の定量的分析およびその軽減に関する研究

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 04454383
• Research Institution: TOHOKU UNIVERSITY
• Principal Investigator: 橋本 保彦 東北大学, 医学部, 教授 (00004648)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松川 周 東北大学, 医学部・付属病院, 助教授 (00108507)
• Keywords: 呼吸不全 / 吸気努力 / 横隔膜刺激 / 横隔膜収縮 / 食道-胃内圧較差

Research Abstract

人工換気時の呼吸不全患者の吸気努力を少なくすることは、患者の疲労を軽減し呼吸不全の増悪を防止する利点がある。患者の吸気努力の大きさの指標の一つに横隔膜収縮時の食道-胃内圧較差がある。横隔神経を刺激して横隔膜の筋の疲労を作成したとき、食道-胃内較差がどの程度その疲労を反映しているかを知るために、以下の研究を行った。
1.研究対象として雑種成犬を用い、全身麻酔下に開腹して左右の横隔膜下面にストレインゲージを装着し、食道および胃内にバルーン付きカテーテルを挿入した後閉腹した。
2.頚部において両側の横隔神経を露出し、刺激電極を装着した。
3.Supramaximalのテタヌス刺激を1秒間持続し、これを1分間に15回加えた。テタヌス刺激の頻度は20Hzと50Hzの2通りとした。
4.刺激を30分間持続して加え、横隔膜の収縮と食道-胃内圧較を同時に測定記録した。
研究結果
1.30分の持続的なテタヌス刺激により、横隔膜筋の収縮力および横隔膜の収縮によって起こる食道-胃内圧較は時間とともに減少した。
2.初期より横隔膜筋力は低下していったが、食道-胃内圧較の低下はゆっくりで、横隔膜筋力の低下と食道-胃内圧較の現象との間に乖離がみられ、吸気努力の大きさの指標とされる食道-胃内圧較が筋の疲労状況を正確に反映していない可能性が示唆された。