1992 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌の分化度と男性ホルモン作用機構上の遺伝子情報発現の差に基づく悪性度診断
Project/Area Number |
04454407
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
穂坂 正彦 横浜市立大学, 医学部, 教授 (30106330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 裕三 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (00186298)
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Keywords | LNCaP細胞 / 5α-reductase |
Research Abstract |
LNCaP細胞はアンドロゲン依存性増殖をしめすヒト前立腺癌培養細胞株として知られている。この細胞には5α-reductaseと17β-hydroxy-steroid dehydrogenaseの存在が確認されており、アンドロゲン代謝研究のモデルとなっている。testosteroneを基質とした時のこの細胞における主たる代謝産物は、androstenedione であり、5α-dihydrotestosteroneの生成量は極めて僅かであった。これにたいし、androstenedione基質からの代謝では、5α-dihydrotestosteroneの生成量が、testosterone基質からの生成量の9倍に達した。この結果からLNCaP細胞ではandrostenedioneから、より効率的な5α-dihydrotestosterone生成が認められる点で、この細胞におけるアンドロゲン代謝の特異性が示された。この結果はまた、LNCaP細胞の5α-reductaseの性質が、通常の前立腺に認められるものとは異る可能性を示唆しており、この点をさらに詳しく調べる目的で、ミクロソーム分画局在のLNCaP細胞5α-reductaseと、ヒト前立腺肥大症組織5α-reductaseのandrostenedione基質に対するKmおよびVmaxを比較検討した。その結果、LNCaP細胞と前立腺肥大症組織とともに、単位蛋白量あたりのVmaxは、ほぼ同等であったのにたいし、Km値は、前立腺肥大症組織で、7.6×10^<-9>M・LNCaP細胞で4.7×10^<-6>Mと、両者のあいだには1000倍の差を認めた。このように、LNCaP細胞の5α-reductaseでは基質低親和性であることが特徴であり、通常の前立腺に発現しているものとは異るisoenzyrueである可能性が示唆された。これらの点をさらに確認するために、finasterideによるinhibition studyおよび、5α-reductaseの遺伝子発現の両者の観点から検討を進めている。
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