1993 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤併用療法による子宮内膜症治療成績の向上に関する研究
Project/Area Number |
04454420
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Research Institution | Tottori University, Faculty of Medicine |
Principal Investigator |
寺川 直樹 鳥取大学, 医学部, 教授 (90163906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 省 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (40218649)
見尾 保幸 鳥取大学, 医学部, 講師 (10135882)
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Keywords | 子宮内膜症 / ダナゾール / GnRHアゴニスト / 薬剤併用療法 / 腹腔鏡診断 |
Research Abstract |
子宮内膜症患者に対する薬剤併用療法の臨床試験については、6ヵ月間の薬剤投与が行われた完全症例は66例であり、その内訳は、ダナゾール単独(D群)17例、ブセレリン単独(B群)26例、ダナゾール・ブセレリン併用(D・B群)23例である。D群9例、B群18例そしてD・B群12例において治療前後の腹腔鏡診断がなされ、内膜症病変の評価が行われた。治療前のRevised AFS分類による内膜症進行期とそのスコアの平均値は、D群では2.8±1.0(Mean±SD)と31±34、B群では2.7±1.1と39±48、D・B群では3.3±0.9と71±56であった。D群においては治療後のAFSスコアは19±21と有意に低下した。B群では全症例における治療後のスコアの改善は有意でなかったが、I・II期の軽症内膜症例(n=10)については、8±3から4±3へとスコアは有意に低下した。重症例が多く含まれたD・B群の治療後のスコアは57±49であり、有意な低下とならなかった。 血中E_2レベルについては、B群とD・B群において30pg/ml以下への有意な低下が観察されたが、D群(治療前104±51 vs 治療後50±36pg/ml)の低下は有意なものではなかった。内膜症病変の活動を反映すると考えられる血中CA125値は、いずれの治療群においても低下したが、D・B群(治療前113±102 vs 治療後21±24U/ml)の低下はより有意なものであった。 腹腔鏡診断による子宮内膜症治療の効果判定を行い得た本研究成果より、治療薬剤ダナゾールとブセレリンの内膜症萎縮効果が証明されたが、その明らかな効果発現は軽症内膜症においてのみ認められることが示された。作用機序の異なる薬剤併用療法の効果については、今回集積された症例数からは結論できないが、一定の限界が存在するものと考えられた。
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