1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454430
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原田 康夫 広島大学, 広島大学, 学長 (30033963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 直樹 広島大学, 医学部附属病院, 助手 (30263677)
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Keywords | 前庭 / カルシウム / ピロアンチモン酸カリウム / 硫酸ストレプトマイシン / サポニン潅流法 / 細胞骨格 / 耳石 / 内耳器官培養 |
Research Abstract |
前庭非感覚細胞におけるカルシウム動態とその意義を明らかにするために本年度は研究計画に従い、以下の成果を挙げることができた。 カルシウムイオンと特異的に反応し、沈着物を形成するピロアンチモン酸カリウムを用い、内耳器官培養系における卵形嚢支持細胞内のカルシウム分布と、硫酸ストレプトマイシン暴露による分布の変化を電顕的に検討した。摘出直後の支持細胞では、主として分泌顆粒にピロアンチモン酸カリウムの沈着が認められ、カルシウムとの反応物と考えられた。硫酸ストレプトマイシンの暴露により、支持細胞内なはライソゾームが増加し、分泌顆粒は減少したが、、ライソゾーム内には多量のピロアンチモン酸カリウムが沈着物が含まれており、残存する分泌顆粒内にも沈着物が存在した。 支持細胞が耳石形成の中心的機能を有していることが確実となり、細胞内での耳石形成過程には、小胞体、分泌顆粒、ライソゾーム及びゴルジ装置が互いに密接な関係をもっていることが示唆された。 細胞の構造と深く関わっている細胞骨格の観察では、サポニン淮流法を用いることにより、従来の方法では明瞭にできなかった有毛細胞と支持細胞の細胞内線維の三次元的配列とそれによる細胞内小器官相互の連結状態をより詳細に観察することが可能となった。細胞内の線維状構造物は細径フィラメントと太径フィラメントの2種に分類された。支持細胞では、分泌顆粒が細胞の長軸方向に走る太フィラメントと密接な関係を有し、分泌顆粒同士が互いに細径フィラメントにより連結されている像や、他の小器官との細径フィラメントによる結合も明らかになった。さらに、細胞間接着構造についても、支持細胞上部の網状帯が細径フィラメントの特徴的配列により構成され、デスモゾーム部分に細径フィラメントが密接に関与していることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Takumida,M.: "Isolated Vestlbular Sensory Cells In the Gulnca Plg." ORL. 56. 190-194 (1994)
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[Publications] Takumida,M.: "Cytoskeletal Organlzation of the Vestlbular Sensory Eplthella." Auris Nasus Larynx(Tokyo). 21. 84-89 (1994)
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[Publications] 工田昌矢: "サポニン潅流法による前庭感覚上皮細胞の細胞骨格構造の観察" 耳鼻臨床. 補72. 5-10 (1994)
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[Publications] 藤井守: "前庭膨大部領域暗細胞表面の耳石について" Equilibrium Res. Suppl.10. 24-26 (1994)
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[Publications] 森直樹: "モルモット卵形嚢支持細胞におけるカルシウム分布-培養卵形嚢のSM暴露による変化-" Equilibrium Res. Suppl.10. 27-30 (1994)
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[Publications] Oda,Y.: "Effect of Streptomycin on the Supporting Cells of the Utricular Macula." Acta Otolaryngol(Stockh). Suppl.(in press). (1994)
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[Publications] Mori.N.: "Changes In Calclum Distribution In the Utrlcular Supporting Cells of the Gulnca Plg." Acta Otolaryngol(Stockh). Suppl.(in press). (1994)