1992 Fiscal Year Annual Research Report
培養破骨細胞の移動機構の解明:微速度撮影による細胞運動の観察
Project/Area Number |
04454449
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
脇田 稔 北海道大学, 歯学部, 教授 (40018916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 茂 北海道大学, 歯学部, 助手 (70241338)
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Keywords | 破骨細胞 / 細胞培養 / 細胞移動 / 吸収窩 |
Research Abstract |
破骨細胞は吸収並びに移動という周期的運動を繰り返す結果、硬組織上に連続した吸収窩を形成することが知られている。しかしながら、破骨細胞の細胞運動機構については殆ど理解されていない。 本年度研究では、まず破骨細胞の運動機構を観察することを目的として、培養下で破骨細胞を微速度撮影により経時的に観察する実験系の確立を試みた。 結果として、以下のようなことが明らかになった。 1. 培養後、24時間以内では破骨細胞による吸収窩形成は殆ど見られなかった。この結果は、破骨細胞培養後一定時間は、破骨細胞の活性が低下しているこを示唆している。 2. 倒立型顕微鏡内での破骨細胞の微速度撮影は、1-2時間という短時間のみ可能であり、それ以上の長時間の撮影は困難であった。これは、顕微鏡内では二酸化炭素の濃度を一定に保てないため、培養液のpH農度が大きく変化することが原因と考えられた。それゆえ、破骨細胞の長時間の微速度撮影においては、培養液のpH値を常にその至適値である6.7から6.9の間に保つ何らかの工夫が必要であることが理解された 3. 培養開始72時間後において、既に吸収窩を形成したと思われる移動中の破骨細胞を倒立型顕微鏡で観察後、さらにその微細構造並びに立体復構像を観察した。その結果、この移動中の破骨細胞は波状縁を持たず、斑状の明帯様構造のみを有していることが明らかになった。 以上の様に、本年度では移動中の破骨細胞の立体構造を明らかにしたが、長時間における微速度撮影による詳細な移動様式についてはまだ理解されていない。このため、倒立型顕微鏡に付属する培養装置の改良と、培養条件の検討を行うことが必要である。
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