1992 Fiscal Year Annual Research Report
口腔原発扁平上皮癌の発生、増殖および転移のメカニズムに関する病理組織学的研究
Project/Area Number |
04454453
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂井 英隆 九州大学, 歯学部, 教授 (80136499)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 拡 九州大学, 歯学部, 助手 (70238971)
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Keywords | 口腔癌 / 浸潤・転移 / 細胞株 / モノクローン抗体 / カテプシン / PCNAとAgNORs |
Research Abstract |
本研究の基本となる口腔粘膜原発扁平上皮癌由来の細胞株の樹立については、すでに2種類の細胞株を樹立し、それぞれMISK81、MISK92と命名し、MISK81についてはその細胞学的性状などを第34回歯科基礎医学会において発表した。またMISK92については平成5年度の第82回日本病理学会総会にて発表予定であり、両細胞株に関する細胞学的特徴をまとめ論文作成中である。またMISK81を抗原として、特に悪性細胞への形質転換に関連した物質や癌細胞表面の接着分子に対する抗体の作製を行っている。 癌細胞の生物学的特性については、原発性胃癌における各種カテプシンの局在を免疫組織化学的に検索し、これらの酵素が浸潤先端部の癌細胞に強く発現されていることから癌細胞の局所浸潤に深く関与していることを第51回日本癌学会総会において発表し、現在論文作成中である。 PCNAとAgNORsについては、口腔の前癌病変と比較対照するために、子宮頚部における異型上皮や、上皮内癌における検索をおこない、現在までに組織学的な異型度の増加とPCNA陽性細胞の出現率との間に密接な関係があることを明らかにし、第82回日本病理学会総会に発表予定であり、また論文作成中である。 癌細胞の増殖に関与する因子として、特に上皮性癌細胞に密接な関係があるEGF receptorについて、PCR法によりoligonucleotideを作製しdigoxygeninでラベルののち、in situ hybridization法により、口腔扁平上皮癌の細胞内に局在するmessenger RNAの検出を行っている。 血管内皮細胞のコラーゲンゲル内における培養は現在着手したばかりで、予備実験の段階ではあるが、ゲル内に明らかな血管腔の形成を認めおり、今後株化癌細胞との共培養により、癌細胞の血管内浸潤のメカニズムについて検討する。
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