1992 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質形成におけるamelogininの局在と遺伝子の発現に関する研究
Project/Area Number |
04454456
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
稲毛 稔彦 日本大学, 歯学部(口腔組織学), 助教授 (90096769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 光宏 日本大学, 歯学部(口腔生化学), 助手 (30194145)
桑田 文幸 日本大学, 歯学部(口腔生化学), 講師 (60120440)
戸田 善久 日本大学, 歯学部(口腔組織学), 教授 (20059413)
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 歯学部(口腔生化学), 助教授 (80014257)
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Keywords | amelogenin / in situ hybridization / mRNA / 遺伝子発現 / エナメル質形成 |
Research Abstract |
A.免疫組織化学による研究 1)amelogenin polyclonal抗体による反応 a.光顕的観察 反応は内エナメル上皮、前エナメル芽細胞、分泌期、移行期、成熟期初期のエナメル芽細胞の細胞質に認められた。また成熟期では、遠心端にruffled boderを持つruffle-ended ameloblasts(RA)とこれを持たないsmooth-ended ameloblast(SA)が交互に出現する。反応はRAの遠心端のみに認められた。 b.電顕的観察 amelogeninによる免疫反応は内エナメル上皮から成熟期初期のエナメル芽細胞の粗面小胞体、Golgi装置および分泌顆粒などの分泌経路に見られた。RAでは反応は分泌経路には見られず、ruffled borderおよびIysosomeなどの細胞内消化に関係する細胞内小器官に認められた。 2)amelogenin c‐末端に対する抗体による反応 この抗体に対する反応は、内エナメル上皮から成熟期初期のエナメル芽細胞に認められたがRAおよびSAでは、全く見られなかった。 B.in situ Hybidization amelogenin mRNAのsignalは、内エナメル上皮から成熟期初期のエナメル芽細胞に認められたがRAおよびSAでは全く反応は見られなかった。 amelogeninは内エナメル上皮から成熟期初期のエナメル芽細胞によって合成分泌され、細胞外でc‐末端から細胞外で分解された後、成熟期のRA遠心端のruffled borderから吸収されることが証明された。amelogeninの遺伝子発現と蛋白の局在を比較検討した研究は現在も全く行われおらず、amelogeninが成熟期初期に到るまで合成分泌されることを初めて証明した。またamelogeninはRAによって吸収されることも解明された。この実験結果は本研究の目的とするものであり、エナメル質形成のmechanismを解明する上で極めて貴重な成果であると考えられる。 しかしながら平成4年度の研究においては、amelogeninのc‐、n‐末端の12アミノ酸残基に対する抗体を用いて電顕的な免疫組織化学による検索は行うに至らなかった。amlegeninの吸収経路を明らかにするため、さらに研究を進めたいと考えている。
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