1993 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル質形成におけるamelogeninの局在と遺伝子の発現に関する研究
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04454456
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Research Institution | Nihon University, School of Dentistry |
Principal Investigator |
稲毛 稔彦 日本大学, 歯学部, 助教授 (90096769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 光宏 日本大学, 歯学部, 助手 (30194145)
〓田 文幸 日本大学, 歯学部, 講師 (60120440)
戸田 善久 日本大学, 歯学部, 教授 (20059413)
下川 仁弥太 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (80014257)
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Keywords | amelogenin / in situ hybridization / immunohistochemistry / mRNA / organ culture / ameloblast / amelogenesis |
Research Abstract |
エナメル蛋白の約90%を占めるamelogeninはエナメル質のcrystalの成長に関係していると考えられているが、エナメル芽細胞のlife cycleにおいて、どの時期のエナメル芽細胞により吸収されるものか不明である。そこで器官培養やmRNA発現を検出する方法を用いて、amelogeninの分泌および吸収機構およびそのstageを明らかにした。 1.amelogeninに関する研究:切歯を用いたin situ hybridizationでは、前エナメル芽細胞や分泌期初期エナメル芽細胞のlife cycle中最も強いmRNAのsignalが見られた。signalは成熟期初期のRAにいたるエナメル芽細胞までにsignalが認められた。免疫組織化学では、polyclonal抗体の反応は分泌期においてはmRNAと同じ局在を示したが、成熟期エナメル芽細胞のうち、int.RAと2nd.RAの遠心端に反応が認められ、SAでは認められなかった。monoclonal抗体では、移行期以後のエナメル芽細胞には反応はまったく見られなかった。臼歯歯胚においては、amelogenin mRNAのsignalは胎生期には認められず、生後0日から観察された。amologeninは内エナメル上皮から分泌期を経過し、成熟期初期まで合成分泌され、成熟期2nd.RAから吸収されることが証明された。 2.TGF-beta1に関する研究:本研究ではamelogeninとTGF-beta1の関連についても検索した。切歯では、TGF-beta1のmRNAと免疫反応はamelogeninと同じ部位に認められた。臼歯ではsignalおよび免疫反応は胎生期の14日の歯胚から見られ始め、分化増殖および分泌を行う時期の細胞に遺伝子発現が強く観察された。TGF-beta1の遺伝子発現は歯の形成段階で内エナメル上皮のmorphogenesisやamelogeninの合成に重要な役割を果たすものと考えられた。 2。器官培養に関する研究 胎生期16および18日の歯胚をfloating metohdを用いて器官培養を行った。胎生期16日の歯胚を器官培養したものでは、培養後4日で象牙質を形成した。また胎生期18日の歯胚の器官培養では、培養後2日で象牙質、培養後7日でエナメル質を形成した。 TGF-beta1の存在では、エナメル質は培養後4日で形成された。この結果はTGF-beta1がエナメル芽細胞の分化を促進することを示している。IL-1beta存在下では、歯胚の成長は遅くかった。この時歯小嚢は増殖している像が観察され、Il-1betaは歯小嚢の発育を促進するもののエナメル器および歯乳頭の発育を抑制することが示された。
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