1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯の吸収機序に関する形態学的研究-組織化学的・免疫組織化学的手法を用いて-
Project/Area Number |
04454457
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Research Institution | Matsumoto Dental College |
Principal Investigator |
佐原 紀行 松本歯科大学, 歯学部, 助教授 (70064699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (30064653)
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Keywords | 歯 / 吸収 / ヒト / 組織化学 / 免疫組織化学 / 乳歯 |
Research Abstract |
歯の吸収機序について、脱落前のヒト乳歯の歯髄内部からの吸収現象を観察モデルとして、下記の4点について組織化学的、免疫組織化学的手法を用いて検討を加えた。 【.encircled1.】象牙質の吸収開始にはどのような細胞が関与しているのか?:吸収開始前には歯髄内にマクロファージ、モノサイト、リンパ球などの炎症性細胞の浸潤が観察された。また、歯根膜の細胞の歯髄内への進入も、吸収開始前に認められ、これらの2つの要因が歯の吸収に重要な役割を果たしていると考えられた。 【.encircled2.】象牙質の吸収では、象牙芽細胞と破骨細胞はどのような関連性をもっているのか?:象牙質吸収前に、象牙芽細胞は歯髄内に浸潤した炎症性細胞により急速に変性、消失し、その後、破骨細胞による吸収が観察された。この結果は、象牙芽細胞と破骨細胞とは、まったく関連性を持たないことを示唆している。 【.encircled3.】破骨細胞の分化過程について:破歯細胞は破骨細胞と同様に、血液幹細胞由来の単核の前駆細胞が血管を介して歯髄内に進入し、歯髄壁に付着後、分化、多核化し、象牙前質ならび象牙質を吸収することが明らかになった。 【.encircled4.】象牙質の吸収過程における破歯細胞を中心とした種々の細胞の直接あるいは間接的な相互関係について:本研究の結果、歯の吸収には破歯細胞だけではなく、炎症性細胞、歯根膜の間葉系細胞が密接な関連性を持ち、歯の吸収の開始、停止などをコントロールしていることが示唆された。しかし、それぞれの細胞間の相互作用については、さらに検討する必要がある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] N.Sahara et al: "Odontoclastic Resorption at the Pulpal Surface of Coronal Dentin Prior to the Shedding of Human Deciduous Teeth" Arch.Histol.Cytol.55. 273-285 (1992)
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[Publications] N.Sahara et al: "A histological study of the exfaliation of human deciduous teeth" J.Dental Res.72. 634-640 (1993)
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[Publications] N.Sahara et al: "Cenentum-like tissue deposition on the resorbed pulp chamber wall of human declduous teeth prior to shedding." Acta Anatomica. 147. 24-34 (1993)
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[Publications] N.Sahara et al: "Resorption and repair of human deciduous teeth:mononuclear phagocytic cells on the resorbed dentin surface in the transitional phase between resorption and repair" Dentistry in Japan. 30. 14-21 (1993)
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[Publications] N.Sahara et al: "Odontoclastic resorption of the superficial nonmineralized layer of predentine in the shedding of human deciduous teeth" Cell Tissue Res.(In Press). (1994)