1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04454460
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
北村 勝也 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (50047784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 和彦 福岡歯科大学, 医学部, 助手 (00224056)
谷口 邦久 福岡歯科大学, 医学部, 助教授 (90105685)
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Keywords | 神経線維 / 舌癌 / VX_2癌 / 舌の部分切除 / 変性 / 再生 |
Research Abstract |
口腔領域の癌腫の中では舌癌の発生率は高い。その場合舌切除術がおこなわれている。舌癌の発生時における神経線維分布の消長と、切除手術後の神経分布の動態について知ることは、舌癌による神経への障害と、手術後の末梢神経の回復とを明らかにし、舌機能の一部を知ることができ、臨床病理学的に意義あるものと思い、本研究をおこなった。実験動物には家兎を用いた。実験腫瘍には、VX_2癌を使用した。癌の発生時における神経線維の消長をみるために、家兎の舌縁部にVX_2癌を移植して、H・E染色および神経染色により、癌細胞の増殖にともなう舌組織の変化と、神経線維の分布の消長について検索した。その結果、舌組織および神経線維には、移植腫瘍の増大につれて変性がおこった。腫瘍の前方部の筋線維の変性、萎縮や配列不正がおこり、腫瘍の増大につれて強くなった。一方神経線維には、腫瘍の周辺部や前方部の線維に、膨化、念珠状変性、断裂などの変性所見がみられ、舌尖部や上皮化固有層に強くおこっていた。切除手術後、切除創の近接部や舌尖部の神経線維の変性、消失が強くなり、分布量が減少した。切除後長期になると、神経線維の再生がおこり、分布量が増加するが、正常舌に比べると少ない。神経線維の変性は筋層内よりも上皮下固有層内に強くおこっており、再生も上皮下固有層の方が遅れていた。本研究の結果から、下癌の一部の症例でみられる舌運動の障害や感覚麻痺などの臨床症状について説明でき、また舌の部分切除後短期ではさらにその障害が増大するが、術後長期になると、神経線維の再生により、舌の運動機能や、知覚(味覚)がかなり回復されることが示唆された。
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