1992 Fiscal Year Annual Research Report
破骨細胞株の樹立と前破骨細胞の分化の細胞・免疫学的解析
Project/Area Number |
04454464
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 〓俊 新潟大学, 歯学部, 教授 (10013905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川瀬 知之 新潟大学, 歯学部, 構師 (90191999)
折笠 道昭 新潟大学, 歯学部, 助手 (30185681)
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Keywords | 前破骨細胞様ハイブリドーマ / 活性型ビタミンD_3 / M-CSF / GM-CSF / マクロファージ / 顆粒球 |
Research Abstract |
DBA/2マウスより分離した骨髄細胞をヒトマクロファージコロニー刺激因子(hM-CSF)の存在下で培養し、融合用マクロファージ親細胞であるG3と細胞融合することにより多くのハイブリドーマを得た。これらの細胞のいくつかは活性型ビタミンD_3の存在下でマウスの骨組織と共に培養することにより多核細胞の形成或いは酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ陽性となり、前破骨細胞の形質の一端を示すことが確認された。これらのことから、破骨細胞の分化に初期の段階でマイクロファージ分化因子が関与している可能性が示唆された。しかしながら、多核細胞形成或いは酒石酸低抗性酸性フォスファターゼ陽性双方の形質を同時に示す細胞は取得されておらず、またそれらのクローンの多くは継代により染色体の脱落が認められ長期の形質維持が困難であることから、安定性に大きな課題を残した。一方、活性型ビタミンD_3のマクロファージの分化への作用機序を解析し、次に示す興味ある結果を得た1 )M-CSF作用(マクロファージの分化)への促進効果 2)この効果は両者が同時に存在する時よりも、M-CSF非存在下での活性型ビタミンD_3による前感作により増強される 3)活性型ビタミンD_3とGM-CSFの同時存在はマクロファージへの分化を促進させる 4)しかしながら、3)により誘導されるマクロファージはM-CSFによるそれとは、表現型が異なる 5)GM-CSF非存在下での活性型ビタミンD_3の前感作によりGM-CSFは顆粒球を効率よく誘導する。以上のことから活性型ビタミンD_3が破骨細胞の形成のみならず、CSF類に直接関連してマクロファージ並びに顆粒球の分化系列に大きく影響していることを示唆するものである(論文投稿中)。 今後、更に活性型ビタミンD_3とCSFを中心とする生理活性物質の作用機序を解析することにより、発生起源を同一とされるこれらの細胞群の分化系列を明確にし、また株細胞の樹立を更に推進する予定である。
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