1992 Fiscal Year Annual Research Report
弾性フィラー添加によるコンポジットレジンの物性改善
Project/Area Number |
04454470
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳥居 光男 大阪大学, 歯学部, 助教授 (30116066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 若生 大阪大学, 歯学部, 助手 (00230649)
土谷 裕彦 大阪大学, 歯学部, 教授 (40028709)
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Keywords | コンポジットレジン / 不連続繊維分散強化 / 弾性フィラー / ミルドファイバー |
Research Abstract |
コンポジットレジンは粉砕石英等のフィラーをベースレジンに高密度に充填することにより、高い機械的強度を得てきた反面、非常に脆性の高い材料になっている。近年、コンポジットレジンにもう少し弾性を与えた方が破壊しにくく、臨床的によい結果を得られるのではないかと考えられている。本年度我々は、石英に替えて弾性が高く、引張り強度も高いガラスウールを粉砕したミルドファイバーをフィラーとして用いることを試みた。市販の平均直径5μmのE-ガラスファイバーをボールミルで粉砕し、平均長さ20μmのミルドファイバーを得た。コントロールレジンとして、Bis-GMA/TEGDMA=7、3,フィラーは粉砕石英(平均粒径3μm)70wt%およびコロイダルシリカ(平均粒径0.04μm)10wt%のコンポジットレジンを調製し、さらに石英フィラーのうちの10〜65%分をミルドファイバーと置換したものを調製した。各試料につき圧縮試験、間接引張り試験、曲げ試験、破壊靭性試験を行った。曲げ強さ、曲げ弾性率、破壊靭性値はミルドファイバー含有率の上昇とともに上昇した。特に破壊靭性値の上昇は著しく、ミルドファイバー65%のものは、0%のコントロールの約1.7倍に達した。一方、間接張り強さには有意の変化はなく、圧縮強さは逆にミルドファイバー含量の増加により減少した。次にガラスファイバーを被覆しているサイジング剤のシラン処理に対する影響を検討した。シラン処理前にミルドファイバーを加熱処理後フッ化水素酸処理すると、破壊靭性値は熱・酸処理無のものに比べて最大45%の増加を示した。又、曲げ試験後の試料の破断面のSEM観察でも、熱・酸無処理のものではファイバーがレジンより引き抜かれ、破断面より突出した像が多く観察されたが、処理したものは多くが破断面で断裂しており、ファイバーとレジンの接着、ひいては脱サイジング剤の方法も大きなファクターになることがうかがわれた。
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[Publications] 井上 亮: "ミルドファイバー含有コンポジットレジンに関する研究ーミルドファイバーの前処理について" 日本歯科保存学雑誌. 35秋季特別号. 96- (1992)
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[Publications] M.Inoue: "Mechanical properties of composite resins reinforced with milled glass fiber." J.Dental Research. 72. 136- (1993)